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4話 ページ7

近頃は昨年から続いている長平での戦のおかげで、守麗は少し暇になっていた。

戦の間は、間者として潜入している者は忙しいが、それ以外は暇なのだ。

この日、在瑠は夕食の食材を集めに狩りにでていた。
出る前に琳と遊ぶ約束をしたから早く帰らないと。

楽するために何か、でかい獲物はいないかな〜などと怠慢な考えをていると、里の方が何やら騒がしく感じた。

ここ数年で守麗の訓練の成果もあってか、在瑠の五感はとても鋭くなっていた。

里の方を見てみるとほんのりと赤く光っていた。

嫌な予感がした。
秦国が攻めてきたのだろうか、だとしたらこんな辺境の村を制圧してなんになる。
秦でなければ賊か。そこで在瑠は考えても仕方がないと思い、剣を握りしめ里へ急いだ。








里は酷い有様だった。血と炎で里は真っ赤に染まっている。
建物は、全て燃え崩れてしまっている。

襲ってきている集団までも赤い甲冑だ。
この甲冑には見覚えがあった。

守麗を襲ったのは……


趙兵だった


私は、絶望に打ちひしがれていた。
あぁまただ、また私は失うんだ。
こんなことなら、、初めからいらなかった。家族なんて…


「在瑠ねぇーーー!」
私はその声にハッとした。バッと前を向くと琳が泣き叫びながらもこっちに走ってくる。

私はその声に突き動かされるままに走った。手に持っていた剣を捨て、無我夢中で走る。


もう少し、もう少しで手が届く。全力で手を伸ばした。

その時、琳に影がかかった。

「琳ッ」
咄嗟に琳の名前を叫ぶ。

間に合わない。手が伸びれば。速く、もっと速く走れたら。




趙兵の剣は、無慈悲に下ろされた。斬られる瞬間琳は、私に微笑んだ。


私が伸ばしていた手に、琳の頭が飛んで来る。
まだ温かいそれを抱きしめる。

信じたくなかった。琳が、琳が。
朝はあんなに、元気な笑顔で笑っていたのに…

私の上にも影がかかった。
趙兵が何か言っている。私にはもう何も聞こえなかった。

このまま死ぬのもいいかな。私にはもう何も無いから。

頭にスっと母の顔が浮かんだ。
こういう時、忘れられないって本当に残酷だ。
先に死んで行った人達が無理やり私を生に縛り付けてくる。

剣が降り掛かってくる。私はそれを地面に落ちていた何か尖ったもので流した。咄嗟だったから何かわからない。

私は、趙兵を斬った。
血が降りかかる。敵を無我夢中で斬りまくった。
ただ"殺さなきゃ"その気持ちしか私のことを頭にはなかった。

こいつら全員コロサナイト…

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rei - あっという間に読み終えてしまうほど面白かったです。素敵な作品をありがとうございました。在瑠さんの成長した姿や桓騎将軍との出会いなど、とても楽しみにしています。 (2月6日 21時) (レス) @page34 id: 67473be8fa (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Alphecca | 作成日時:2023年3月16日 18時

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