18話 ページ28
此度の戦で最も被害が想定されるのは、中央を任される第一軍だった
勿論そんな事はただの一兵卒に伝えられるわけもなく、歩兵達は眼前に広がる数多の敵兵に身を震わせた
誰しもが死を感じた
誰しもが恐怖心を抱えていた
そんな中に軽く速い蹄の音がこだました
異様に静まり返った空気の中で、不思議とよく響いた
その音を鳴らす馬の背に乗る人物を目にした者は、感動に打ち震え、また戦意をたぎらせた
その者は一軍の前に立つと静かに、そして力強く語った
「貴方達はこの王騎軍の一員です。簡単には死なせません。この王騎がいる限り貴方達の死地は此処ではありません。」
“期待していますよ”
爆発が起こったかのような衝撃が走った
先程までのように恐怖心を持つものは消えた
その時、農民兵は戦士になった
在瑠said
在瑠は未だかつてない高揚感を感じていた
父上が戦に出るのを見るのは初めてだった
良く父上はふざけて「天下の大将軍ですよォ」なんて言っているけれど、こんなのを見せられては認めるしかない
「やっぱり王騎将軍はちげーな」
礎顕の言葉に他の3人も頷く
「どうした?在瑠。元気がないように見えるが、」
「鋭、元気が無いわけじゃなくて…」
首を振りながら在瑠は答える
「どうすれば、、ああなれるのかなって。考えてた」
さっきの父上を見たとき、遠い、と思った
余りにも遠く、埋められない差を感じた
どうすれば……
私が眉間にシワを寄せて考え込んでいると、指で眉間を押された
「そんな難しく考え過ぎんなよ。お前は、出来ることをすりゃいいだろ」
「たまには礎顕もいいこと言うんだな」
故廊が私の頭を撫でながら言った
「あんまり生き急ぐなよ、死んだらそれまでだ」
「ありがと」
ちょっと照れ臭く思いなが感謝を告げる
この伍で良かったと心から思った
太陽が天高く昇ったとき
左軍側から砂塵が起こった
開戦だ
93人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
rei - あっという間に読み終えてしまうほど面白かったです。素敵な作品をありがとうございました。在瑠さんの成長した姿や桓騎将軍との出会いなど、とても楽しみにしています。 (2月6日 21時) (レス) @page34 id: 67473be8fa (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:Alphecca | 作成日時:2023年3月16日 18時