10話 ページ17
遂にたどりついた咸陽
はじめに目が付いたのは、その活気の良さだった
父上は、現秦王の昭王に謁見するために来たらしく王宮へ行ってしまった。
そして私は咸陽を見て回ってもいいという許可を頂いた。
その際に言い付けられたのが「くれぐれも問題を起こすことがないように」ということだった。
普通に観光しているだけなら問題を起こすことなんてないだろう。と思っていた。
「うわーすごい。」
人が多すぎて人酔いしそうだな…なんて考えながら道なりに進む。
「!あれが噂の甘味処か〜」
私は生まれてこの方甘味処なんて行ったことがなかった。
行ってみたいし、甘いものは好きだし、でもあまりお金を持っていないし…
なんて店の前で考えていると
「あっあの、離してください!」
女の人の声が聞こえた。明らかに困ってそうだと思い、見てみると、何やら大柄の男の人と押し問答をしているようだ。
助けるべきではあるけれど、問題を起こすなという父上の声が頭の中で反響する。
「いや、ここであの男を殴っても悪いのは私じゃない。
だから、問題を起こしたのも私じゃない…」
ブツブツと一人で呟いて頭を整理する。
そして私は決心した。あいつを殴ろうと。
でも、流石にいきなり殴るのはマズいので、取り敢えず話しかけてみる。
「あのー、その手、離していただけますか?」
女の人の手を掴んでいる方の男の手首をぐっと力を込めて握る。
「っ邪魔すんなや」
男は私に睨まれていることに気づいたのか、少し怯んでから言った。
「見たところ嫌がって居るようですが…貴方はこの人の何ですか?」
猶も睨みつけながら話しかける。
「てめぇこそ、この女の何だよ!」
「私は、この人の何でもありません。ただの通りすがりですよ。」
私は、静かに冷静に答える。
「関係ねぇやつは引っ込んでろよ!邪魔なんだよ!」
男は、そう言って女の人を引っ張って行こうとする。
「だから離せって」
私がイラッとして男に言うと
男が手を上げた。
殴られる。
避けようと思えば避けられるが、私は避けなかった。
ドシンと頬に衝撃が響く。
「邪魔すんなって言ってるだろ!」
殴られたまま少しの間下を向いていると、そんな声が聞こえてきた。
これで此奴を殴っても正当防衛だ。殴る口実ができた。
「おい…だからその人を離せって言ってるだろうが」
男が丁度振り返ったところに顔面に拳を叩き込んだ。
男の体が吹っ飛び一撃で沈めることに成功した。
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rei - あっという間に読み終えてしまうほど面白かったです。素敵な作品をありがとうございました。在瑠さんの成長した姿や桓騎将軍との出会いなど、とても楽しみにしています。 (2月6日 21時) (レス) @page34 id: 67473be8fa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Alphecca | 作成日時:2023年3月16日 18時