暗闇の中で (ページ11)

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「気がついたんだね！
わゎ、なんで倒れてるの？まだ寝てないと行けないよ。
牀に上がって待ってて。私、王騎様呼んでくる！」

ここまで一気に言うと、今度はバタンと勢いよく扉を閉めた。

嵐のような人だった。逃げないといけないと思っていたけれど、実は善良な人に拾われたのかもしれない。

それでも油断は禁物なため、剣を強く握りしめておく。

パラパラと扉の向こうから足音がする。
2人、いや3人か…
在瑠はふぅーと心を落ち着けるように息を吐いた。

そして今度はさっきと違ってゆっくりと扉が開けられる。

「ンフゥ、体調は大丈夫ですかァ」
そう声をかけてきた男性に在瑠は固まってしまった。
こんなに大きい人は初めて見た。それとなんか口調が変だ。

「あ、ええっと、はい」
やっとのことでさっきの質問に答える。

「では、名前を教えて頂けますかァ？」
その男性は探るように目を輝かせた。

「………在瑠です」
言うべきか、言わないべきか迷いながらも私が答えると

「いい名前ですねぇ、騰？」

「ハッ、愛らしい名前です。」
本当にそう思っているのかいないのか、騰と呼ばれた男性は答えた。

「私は、摎。
あっちが騰で、こちらは王騎様。
あと、私のことは摎でいいから」

よろしくね在瑠！と先程の嵐な女性が自己紹介をしてくれた。

「ええっと、皆さんは、秦国がの方ですか？」
王騎、摎。共に秦国が誇る将軍だと守麗で聞いたことがあった。

うんと摎が勢いよく頷いた。

「ンフゥ、あなたは何者ですかァ？」
王騎の目が鋭く光る。

「私は……」
どこまで話すべきなんだろう。この人たちは、信用していいんだろうか。

口ごもってしまった私に王騎将軍は、私を見つけた経緯を語った。

「私が、あの兵士達を皆殺しにした上、皆さんに襲いかかったんですか!?」

私にはそんな記憶がなかった。
記憶が無いなんて初めてで、なんとも言えない恐怖を私は感じた。

「なかなかに強かったですよォ、ねぇ騰？」

「ハッ、見事な跳躍でした。」

跳躍？私と摎の頭の上にハテナが浮かぶ。
そんな私を見て王騎将軍は問いかける。

「おや、覚えていないんですかァ？」
少し面白がっているような口調だ。

「はい。妹が斬られた所までしか覚えていないです。」
目を細めながら考え込む私を見て、3人は顔を見合わせる。

「どうかしましたか？」
不思議に思って、3人に尋ねた。

「辛いと思うけど……その時のこと話してくれない？」
摎が言いにくそうにそう告げた。

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