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『ねえ、おかあさん。』
「んー?」
『ぼくがデビューしたらうれしい?』
「…デビューかあ。」
『ジュニアはみんな、デビューのためにがんばるんだって。
ぼくしらなかった。』
「えっ?
Aはアイドルになりたくて入ったんじゃないの?」
『えっ…とね、キラキラのおようふくきてうたったり、たのしいかなって。
ぼくもならいごとしてみたかったし…。』
「そうだったんだ。」
母さんにはお金のために事務所に入ったことは、黙っていた。
子どもはそんなこと気にしなくていい、って怒られることは分かっていたから。
『おてがみもらったの、おうえんしてるよ、デビューしてねって。』
「うれしいね。」
『…うん。』
「…A、お母さんアイドルのことはよく分からないけどさ。」
商店街と住宅街の間にある交差点。
赤信号で2人は止まった。
「アイドルって誰かに応援してもらえるから、お仕事できるしお金ももらえるんだよ。
お惣菜屋さんだって、誰かに買ってもらえるから、お店は続けられるしお母さんもお給料をもらえる。」
『うん。』
俺の両手を握った母さんが、しゃがみこんで俺と目を合わせた。
「習い事とは違う、お仕事なの。
応援してくれる人にね、いっぱい頑張ってありがとうを返し続けなきゃいけないお仕事。
それがわからないと、続けていくのは難しいんじゃないかな。
習い事がしたいなら他のことさせてあげるよ。」
『………うん。』
あ、そっか、って。
応援してくれる人がいないと、自分の手元には1円も入ってこないんだって。
母さんがしゃがんでようやく目が合うような、ちっぽけな自分が、初めて"責任"を自覚した瞬間だった。
応援されることへの"責任"が、"デビューすること"。
"デビューすること"を目指す道のりで、夢を見させること。
俺にはもう応援してくれる人がいる。
…とっくにもう、逃げられない。
「まだ難しいか笑
それにAは十分お仕事頑張ってるし。」
『…うん。』
「Aの好きなようにやりなよ。」
『…ぼくがんばるよ。』
「ふふ、コロッケ冷めちゃうから帰ろ!」
繋いだ母さんの手はいつでも暖かかった。
きっと俺が、やっぱりジャニーズJrなんて辞めると言っても、そっか!って笑ったんだろう。
Aの好きなようにやりなよって、あれからもずっと言い続けてくれた母さん。
母さん、俺さ、絶対デビューするよ。
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MIo(プロフ) - togawadollさん» ご不快な思いをさせてしまいまして、申し訳ございませんでした。以後ないように気をつけます。修正致しました。ご指摘ありがとうございました。 (2021年3月9日 12時) (レス) id: 5ac68e315d (このIDを非表示/違反報告)
togawadoll(プロフ) - 視点ごとにセリフの「」前に名前が無いと全て夢主君が喋ってるのかと思ってしまいます・・・。夢主君以外は名前ありの方がまだ読みやすいです・・・。それか全て外した方がまだいいと思いました。 (2021年3月9日 1時) (レス) id: a83c0082d0 (このIDを非表示/違反報告)
MIo(プロフ) - 林檎さん» コメントありがとうございます!可愛いと思って頂けて本望です!笑焦らしに焦らしまくる展開で申し訳ないですが、これからもよろしくお願い致します!お優しいお言葉もありがとうございます(^^) (2021年2月21日 16時) (レス) id: 5ac68e315d (このIDを非表示/違反報告)
林檎 - いつもみな、可愛い!と思って読んでます!これから、メンバーとみながどう距離をつめていくのか楽しみです!無理しない範囲で頑張ってください! (2021年2月16日 14時) (レス) id: a733c91119 (このIDを非表示/違反報告)
MIo(プロフ) - 林檎さん» 初めまして。コメントありがとうございます。出会ってくださってこちらこそ感謝です!これからもよろしくお願い致します!! (2020年12月15日 18時) (レス) id: 5ac68e315d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:MIo | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/____mio__w
作成日時:2020年12月13日 22時