僕が、また。

胸の内 ページ7

S side









「翔くん、」

「ん？」

「みんなに話したらさ、
抗がん剤治療の話し進めなきゃ」

「俺も一緒行く」

「ありがとう。会社にも言わなきゃだね」

「仕事は、ストップかけた？」

「うん。とりあえず、今入ってるのまでで。
理由聞かれたけど、また話すねって」

「そっかそっか。おつかれ」









ただ、

今を悔やんでいるだけじゃない彼に、

心底救われた。









「せーっかく生えた大事な大事な髪の毛なのに」

「副作用？」

「うん。キャップ出しておかなきゃ」









もし

彼の中で

【 治療を希望しない 】

そんな選択をしていたら

俺はどう

声をかければいいか分かんなかったと思うから。









「潤、」

「うん？」

「ベッド行こっか」

「…それって、」

「……は？いやいや、そんなんじゃないから。
そうだったら、もっとスマートに誘ってるわ」

「ちぇ、」

「…………なに、その気なの？」

「しらない」

「え、いいの？明日忙しいじゃん」

「俺はご飯の準備するだけだもん。
仕事あるのは翔くんでしょ」

「……………マジで？」









思わぬ返しに、

何言か話して、移動してる間にはもう。


ベッドの上で組み敷かれてる潤は、その気の顔。


そんなのずりぃじゃん。理性なんて保てるかよ。









「んんっ、しょうくん、だめ、そこはだめだよっ」

「分かってるよ、ギリギリ狙ってるから」

「ちょ、っと、
…ギリギリじゃなくて、見えないとこにして」










首筋に顔を埋める俺に、

小さく脚をぱたぱたさせながら焦る潤。










そっちから仕掛けてきたくせに、本当かわいい。

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