２人で確認 ページ40
S side
「寒くない？」
「うんっ、大丈夫」
次の日、潤と、散歩ルートの確認。
昨日、ちょっと怒っちゃったことを改めて謝ったら、
しつこいって笑ってくれたから、やっともやもやが晴れた。
「秋もあっという間に終わるんだろうな〜」
隣を歩く潤は、長袖に薄い上着。
暑がりの俺には、まだ少し暑いかなって。
「やっぱり変わってないよ」
「いいの」
「ふふ、ありがと」
治療中ほぼ毎日歩いてた散歩道も、
仕事を再開してからは、歩くことが減ってた潤。
だから、散歩を再開させる前に、
小道だった場所が大通りになってる、だとか、
見晴らしがよくなりすぎてる、だとか。
変化が無いか、散歩がてら2人で確認中。
人目につかないそのルートは、良いっちゃ良いけど。
「ぁ、翔くんここだよっ」
「ん？」
「覚えてる？俺が、迷子の男の子と出会った日のこと」
「家の中が空っぽで、俺がパニクった日ね。
忘れるわけないじゃん、てか、忘れられるか！笑」
「ふふ、ごめんごめん。ここ、ここに座ってたら、
後ろから服引っ張られてさ、」
そういう時、困るんだよなぁ。人出が無さすぎるのも。
少しだけ高台になってるような敷地に、
ぽつんと置いてある木のベンチ。
そこに座りながら、少し前に起こった、
少年との思い出話をする潤。
「今は変わっちゃってるけど、あそことあそこの看板が、
その日は、にのと相葉くんの看板になってて」
「へえ、あれ？」
「そうそう。なんの看板だったかは忘れたけど、
ここに座ったら、ちょうど目に入って」
並ぶ看板を指差す潤と、思い出話しと。
綺麗、とまはではいかないけど、
街を少しだけ見下ろせるこの場所は、
景色を俯瞰できて、街の喧騒から離れられる。
潤のお気に入りの場所でもあるらしい。
「なんかそれがさ、寂しくなっちゃって」
「寂しい？」
「うん。俺だけ、置いてかれてるみたいに思えて」
初めて知る、あの日の潤の気持ち。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 203人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「病系」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
伶(プロフ) - 餡子さん» 餡子さん、ありがとうございます✨前回のも読んでいただけたみたいで、嬉しいです！これからまだまだよろしくお願いします☺️ (2022年7月23日 14時) (
レス) id: 9e9e184764 (このIDを非表示/違反報告)
餡子(プロフ) - この前、前回までのを読んだのでもしものお話がとても嬉しいです！ありがとうございます！これからも頑張ってください😊 (2022年7月18日 17時) (レス) @page31 id: e06a8e0f67 (このIDを非表示/違反報告)
伶(プロフ) - ナナさん» 私もこのお話だけは、読み返したことがあります！🫣まーったく、医療関係ではございません…（笑）少しでも違和感をなくしたいと思っているので、嬉しいです！ありがとうございます💜 (2022年7月6日 21時) (レス) id: 9e9e184764 (このIDを非表示/違反報告)
ナナ(プロフ) - 怜さん、こんばんは(^^)リアル設定なのに…大好きー💜貴方と、~もまた読み返したくなってきました(´∀｀*)怜さん、ホントに病院関係のお仕事されてないんですか？内容がめっちゃリアルっぽいです😸 (2022年7月4日 20時) (レス) @page20 id: d658bfc4bc (このIDを非表示/違反報告)
伶(プロフ) - じゅんすきさん» こんばんは🌙コメントありがとうございます！このお話を最初から読んでいただけて嬉しいです…！！これからまだまだ続くのでよろしくお願いします☺️ (2022年6月30日 19時) (レス) id: 9e9e184764 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：伶
| 作成日時：2022年6月12日 12時
