貴方と、僕と、僕たちと。

散歩＿Ｓ ページ26

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昨日から潤の抗がん剤治療が始まった。









治療が始まって2日目の今日、
早速倦怠感が出始めてるらしく
なかなか気分がのらない潤。







「潤、先生も気分転換が必要だって言ってたし
ちょっと散歩しよっか？」

「……さんぽ？…でも、バレちゃうよ…」

「先生たちだけが出入りしてる中庭があるらしくて、
そこ使っていいって。だから大丈夫」

「……え、ほんと？……いいの？」

「うん…ふふ…最近外の空気吸えてないっしょ？
俺と一緒に行こっか」

「うんっ……しょーくんといく」

「ん、ふふ……車椅子乗る？」

「大丈夫、歩ける」

「ん、ゆっくり身体起こそっか」







大丈夫だよ、
なんて笑う潤を支えて散歩に出かける準備。







「上着それだけじゃ寒くない？これ持ってこ」

「……ふふ、なにそれ、新しいの？」

「ぁ、そう、買った。どう？おしゃれ？」

「……うん、しょおくんにしては」

「何だよ、翔くんにしては、って、ふふ」

「………んふ……ありがとう」







今日も俺の上着を着てる潤は寒がり。

そんな潤のために新調したブランケットを持って

２人でゆっくり歩く。








「……………………ゎ……」

「……ん？」

「………んーん？……しょおくんの手、あったかい」








恋人らしく手を繋いで。








「…………外だー…………」

「……ふふ……寒くない？」

「うん……ふふ」








昼前とは言え冬空の下は冷える。

そんな空をゆっくり見上げた潤は、
目を閉じて大きく息を吸う。








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