月明かりの下で、君と約束をしよう3 (ページ30)

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第百四話ページ30

ドラコside

僕は息を呑んだ。

目の前にいる彼女が、今月明かりに照らされながら光り輝いている。

眩しくて、直視できない。

僕は目を閉じる。

やがておさまると、僕は恐る恐る目を開ける。が、目の前にはいたはずのサクラが消えていた。

ドラ｢サクラ...？｣

『...ラコ...ドラコ...』

頭の中で彼女の声が響く。

『こっちよ、貴方の右隣。』

僕は右を向くと、ベンチに何か妖精のような生き物が立っていた。
透き通った白い肌に、白い髪、そしてその身体よりも大きくて美しい羽。
だが確かに瞳の色はサクラのものとそっくりだった。

僕はただ、唖然としてしまった。

ドラ｢サクラ、なのか...？｣

『ええ。』

サクラは僕の顔の前までヒラヒラと飛んでくる。

僕は彼女を手のひらにのせた。

『私の、ママの旧姓が、アルフレッドなのは覚えてる？』

僕はコクリと頷く。

『私も詳しいことは知らないの。

簡単に言うと、ご先祖様が血の呪いにかけられてたって話。それで、その呪いっていうのがこれなの。満月の光に照らされると、妖精になってしまう。

アルフレッドの血も薄くなっていく中で発症するのは一族の中でごく稀になってきていたしいんだけど...』

サクラは悲しそうに羽が下がった。

『私は、そのごく稀になっちゃったみたい。』