disappearance-消失-8/O ページ9
｢で、どうなってんの？｣
集まったみんなにお茶を出しながら俺は話を促す｡
みんなが座ってる所から少し離れた場所で、ニノがちょこんと座っていた｡
…最近、ニノの様子がおかしい｡
俺がそのことに気付いたのは一か月ぐらい前｡
ひどく疲れているみたいだしあまり眠れてないみたいだ｡
それにいつも不安げでまるで何かに怯えているみたい｡
勿論、カメラの前ではそんな表情は一切出さないが楽屋では塞ぎこんでいて、あまり話もしない｡
なによりみんなと距離をとりたがる｡
今みたいにこうやって、少し離れたところで一人でいるんだ｡
それとなくニノに聞いてみるもののいつも上手くはぐらかされてしまっていた｡
｢なんでそんなとこに居るんだよ？
こっちおいで？ニノ｡｣
俺が促すと、小さく頷いて俺にピタッとくっついて座る｡
いつもならそんなニノに何かしら突っ込むんだろうけど、今の弱々しいニノにそんなことできる訳もなく、俺はそのまま何も言わずくっついたままでいた｡
誰かの体温にほっとするのか、ピタッとくっついて座るニノは、さっきより安心したような表情を浮かべている｡
５人が座ったのを確認すると、おもむろに翔君が話し始めた｡
｢それがさぁ、今日時間になってもマネさんが迎えに来ないんだよ｡
いくらコールしても電話に出ないし｡
で、結局タクシーでテレビ局に向かったわけ｡｣
｢うん｡｣
俺は翔君の話を真剣に聞いた｡
｢でも、局についても門前払いなんだ｡
中に全然入れないし、共演したことのある人達もおれがわかんないの。
仕方ないから街にでてみたら、やっぱり誰もおれに気付かなくて･･･｡｣
｢みんなも翔君とおんなじ？｣
｢だよね……？｣
話しを聞いていた相葉ちゃんが、 松潤の顔を見る｡
｢俺もまぁそんな感じだ｡｣
異口同音とでも言いたげに、 松潤が返事をした｡
｢で、だいたいそんな感じで戸惑ってるとこに、オレが電話したわけ｡
自分も同じ状況だったから、みんなはどうかなって思って｡｣
｢その直後にリーダーに電話した｡
後は分かるよね？｣
みんなの話に、俺はかぶりをふる｡
｢…どうなってんの？
でも･･･あり得ねぇだろ？｣
｢あり得ないことが現実に起きてんだよ、リーダー｡｣
うろたえる俺に、ニノの低い声が重たく響いた｡
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作者名：あさり
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/list/a-ground/
作成日時：2012年3月8日 0時
