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tower of “BABEL”-15/N ページ41

大野さんの指が、金網を這うたびに、

水あめのようにぐにゃんと曲がって

鉄製の金網はその形を変える

そして頑丈だったハズの金網は

ブチブチと軽快な音を立て

簡単に切れていく･･･････

繊細な細い指が

まるで慈しむかのように

優しくその上を這うたびに

大野さんの指が湛えた美に降伏するかの如く

鉄製の金網は音を立てて

切れていく･････｡

オレはその光景を呆然と見つめる･･･｡

こんなこと･･････

あり得ない･･･････｡

この人がこんなことできるなんて

聞いたことない･･････｡

・

・

・

・

オレのせい････？

オレが不思議な力を持ったせいで･･･

それが引き金になって

リーダーも内に秘めてた力を

･････目覚めさせたんじゃないのか？

・

・

さっきはよくわからなかったけど

今度ははっきりと理解できる｡

この人もオレと同じだ･････｡

自分の奥底に･･･

得体のしれない力を秘めている･･･｡

淡い青を讃えた瞳は、まるで表情がなくガラス玉のようだ｡

リーダーは目に見えない陽炎のようなものを噴き上げて、淡々と金網を切断していく｡

淡い青が宝石のように綺麗で

表情をのせない冴えたそら色が

あまりに綺麗で

オレは目の前の光景に言葉を失う･･･｡

｢大野さん･････｡｣

オレはリーダーの傍らに立ち、そっと声をかけた｡

でも反応がまるでない｡

意識がここにないみたいだ｡

オレはリーダーから噴き上がる陽炎のようなものを裂くようにして、華奢な肩にそっと自分の手を置いた｡

｢大野さん、大野さん････
オレが････わかる････？｣

オレの呼び掛けに、リーダーはビクンと体を震わせる｡

さっきまで金網を這っていた指はその動きを止め、リーダーはオレの方へと向き直る｡

視線をゆっくりとオレに移すと

｢あ･･････｡
ニノ･････････？｣

不思議そうにオレの名前を呼んで･･･｡

淡い青を讃えていた瞳は急速にその色を失い、いつもの鳶色の瞳にオレの姿を映した････｡