Missing-link(気象O/N) file1 (ページ39)

今日:22 hit、昨日:9 hit、合計:298,829 hit

tower of “BABEL”-13/N ページ39

外階段に出ると、春の風がオレ達の間に吹き抜けて行って、温かな風が自分の体を撫でていく感触が心地よい｡

フェンス越しの景色に目をやれば、赤い鉄骨の向こう側は曇天の空が広がって、雨が今にも降り出しそうだ｡

外階段の安全対策はバッチリで、しっかりと手すりが準備されていて、向こう側に落ちないように頑丈そうな鉄製の金網で安全柵が施されている｡

高所恐怖症の人でも大丈夫そうな感じだ｡

･･･でも、それでもきっと翔さんはダメだろうな｡

ふっとリーダーの部屋を飛び出して以来それっきりのメンバーの顔が頭に浮かんだ｡

･･･オレ達は下へ下へと階段を駆け降りる｡

ここを降り切れば････

ここさえ降り切って階下へいきさえすれば

逃げ切れる････｡

ただそれだけを思って黙々と階段を駆け降りた｡

『カインとアベルはバベルの塔｡
２人を捕まえ支配しろ』

例の奇妙な声に体がビクンと跳ねる｡

上からも････

下からも････

挟まれるように聞こえてくる声に、足がすくんでその場から動けない.

オレの様子に先を行っていたリーダーが振り向いて声をかける｡

｢ニノ!!
何やってんの?!
早くしないと捕まっちゃうよ!!!｣

リーダーの声がどこか遠くで聞こえてるような感じがした｡

オレは震える自分自身の体を抱きしめて、リーダーに告げる｡

｢リーダー･･･､
ダメだ･･･｡
上からも下からも例の奴らが来る｡
オレ達挟み打ちだ･･･｡｣

｢････えっ？｣

もう、逃げ場がない････｡

得体のしれない連中にオレは捕まるんだ｡

自分自身にも何が起こったかわからないまま

どこかへ連れてかれるんだ････｡

｢ジ・エンドだよ･･････｡｣

オレの頭の中に『絶望』と言う言葉が躍っていた･･･｡