tower of “BABEL”-12/O ページ38
俺とニノは一斉に走り出した｡
ガラス越しに見える景色を楽しんでいる人達を尻目に、体じゅうに込み上げる何とも言えない感覚に苛まれながら２人で走り出す｡
｢なんで･･･なんでここがバレたんだ!!｣
｢･･･メールしたから？
さっき翔さんにしたメールでここつきとめられたんじゃない？｣
｢どうやって?!
仮にそうだとしてアイツら何者なんだよ!!｣
｢オレに･･･わかる訳ないだろ!!｣
走っていた足を止め、ニノは何かを探るように周りの様子をうかがう｡
｢･･･････リーダー、ヤバい｡
例の声が増えてく･････｡
どんどん数が増えてこっちに向かってくる!!｣
｢･･･エレベーターから逃げよう｡
何でもない顔して降りればいい｡｣
そう言ってエレベーターの方に行こうとした俺のパーカーの裾をニノが引っ張った｡
｢そっちはダメだ｡
もう、そこはアイツらが見張ってる･･･｡
感じるんだ･･･｡｣
ニノは不安げにユラユラ瞳を揺らして俺の顔を見る｡
｢なら、外階段から行こう!｣
俺の言葉にニノはゆっくりと頷きそのまま俺達は外階段の方へと向かった｡
｢･･･大野さん、アイツらなんなんだよ｡
オレ、この力のこと本当に大野さんにしか話してないんだよ？
なんでアイツらオレの力のことわかってんの？｣
｢うん･･･｡｣
｢それにここのことだってどうしてバレるの？
ここまで来る間、アイツらに絶対につけられてなかった｡
降ってわいたようにここにアイツらやってきたんだ･･･｡
どうやってオレ達がここにいること突き止めたんだよ･･･｡｣
ニノは不安げにキチッと音を立てて自分の親指の爪を噛んだ｡
｢オレ･･･､アイツらに捕まったらどうなるんだろう･･･？
もう、リーダーやみんなに･･･
会えなくなっちゃうのかな？｣
外階段に向かっていた歩みを止め泣きそうな顔をしたニノの手をぎゅっとつかんだ｡
｢変なコト考えるなよ｡
大丈夫･･､とりあえず３日間、逃げきってみせよう｡
その後、仮にみんなが嵐を思い出せば何とかなるって｡｣
そう言ってから俺は、自分の着ていたパーカーを脱いでニノに着せた｡
｢これ着てフードかぶってろ｡
とりあえず顔隠しとけよ｡｣
｢うん･･･｡｣
｢さぁ、急ごう!!｣
周りを注意深く観察しながら、俺達は外階段へと向かった｡
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作者名：あさり
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/list/a-ground/
作成日時：2012年3月8日 0時
