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tower of “BABEL”-8/N ページ34

東京タワーの展望台につくと、平日の中途半端な時間だけあってさほど込みあってはいなかった｡

｢？
何やってんの？大野さん｡｣

オレの隣で携帯をいじっていたリーダーに声をかけると、リーダーはオレにニッコリと微笑む｡

｢うん？
翔君にメールしといたの｡
無事だよ～って｡
別れてから連絡してなかったから、心配してるかなって思ってさ｡｣

｢なるほど｡｣

･････それにしても

｢リーダー、ちょっと手、離してくれます？｣

リーダーはさっきからオレと手を繋いだまま、離そうとしない｡

｢だってさ、さっきだって顔色悪かったし｡｣

｢･･･なんで恋人繋ぎ？｣

｢がっちり繋いでるほうが人の声も聞こえにくいのかなって思って｡｣

ニッコリと罪のない笑顔でリーダーは答える｡

そんなオレ達を通り過ぎる人達が白い目を向けて歩いていった｡

しかも、振り向いてこっちを見ながらヒソヒソ話までしている｡

オレはふうっと溜息をついた｡

｢あのね、大野さん｡
気持ちは嬉しいんだけど、さっきから通ってく人完全にオレ達のこと誤解してるよ？｣

｢誤解？｣

｢まだわかんない？
オレ達男同士で恋人か何かだと思われてるってこと!!
オレ、通り過ぎるみんなの視線が痛すぎる!!｣

オレに言われてリーダーはやっと周りから向けられた好奇の視線に気がついた｡

｢･･･本当だ｡
ある意味、スゴイ目立ってる｡｣

リーダーはオレを見て苦笑いを浮かべる｡

｢じゃあ手ェ離すけどさ、気分悪くなったら言えよ？｣

｢了解｡｣

天然なリーダーに笑ってしまったけど、大野さんが信じてくれたことと、オレの味方でいてくれることは心底有り難かった｡

今もオレを第一に考えてくれている｡

そんなリーダーの横顔を眺めながら、オレ達は眼下に広がる東京の街を愉しんでいた｡