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tower of “BABEL”-7/miss.K ページ33

｢アナタの言ってる事は現在判明してる事実と反しています。

確かに一昔前まで、人間は脳の一部しか使ってないと言われていたわ。

でもそうじゃないことが現代の脳科学で立証されてる。

専門的な話しが出来るところといい
アナタも科学者のはしくれみただけど、
専門馬鹿じゃどの世界でも通用しないわよ？｣

私の言葉に男は弾けた様に笑うと

セットした髪を無造作に掻き上げた。

｢これはこれは！
ミス鏑木に一本取られたな！｣

｢なによ!!
女だと思って馬鹿にしてるのね!?｣

｢違うよ｣

私を苛立たせた笑いが消え

眼鏡の向こう側から見える双眸に

男は逆らえない鋭さを乗せる。

｢それぐらい気が強い方が研究者として大成する。
信念を持って自分の考えを押し進められるからね。
折れない心が大切！ってことだよ。

でもね？
常識だけに捉われちゃいけない。
世界の常識が真実だとは限らない。

疑い、覆す柔軟さが科学者にはないと。

じゃなきゃ今でもこの世界では、
地動説じゃなく、
天動説がまかり通ってたかもしれないよ？｣

ニッと口許を歪めた男に

私は眉を潜める。

｢貴方、何者なの……？｣

｢ボクは小城透。
内閣情報調査室付理化学研究所で所長をやってる｣

｢貴方、小城透さん!?

小城さんて、あのブラックホールの研究をされてた、宇宙物理学者のあの小城さんですか!?

私、貴方の一分の隙もない論文が好きで、何度も読ませて頂きました!!｣

｢んふふ、それは光栄だね。

……麗子ちゃん。
ボクは君が気に入ったよ。

益々ウチに君が欲しいな｣

｢えっ？｣

｢さっきも話しただろ？
ベータ波動に反応する脳を持つ人類がいるって。
どう？
ウチに来てそいつらと･･･会ってみる？｣

それがニューチルドレンだ｡

我々には理解不能な領域まで

脳の機能を使用できる新しい人類｡

こうして私はニューチルドレンと関わることになっていき、

NASAのケプラーが捉えた惑星に住まう『神』の存在を知ることになったのだ･･･