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tower of “BABEL”-6/miss.K ページ32

全く何を考えてるのか判らない男だ｡

そのくせ頭の回転は異常なまでに良い｡

私をこの組織に引き込んだ時も、彼はなんの前触れなく現れた｡

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｢君が･･･鏑木麗子さん？｣

今から数ヶ月前、小城は私が在籍していた大学院の天文学部のラボに現れた｡

｢突然だけどさ、ちょっとこの写真見てくれる？｣

取り出したのは3枚の写真｡

どれも遠い天体を映した写真だ｡

内、１枚はコンピューター補正が施され、カラー写真になっていた｡

｢これは？｣

｢NASAのケプラーがとったある天体の写真だ｡
ある生命体が住む惑星の写真だよ｡｣

彼の言葉に思わず笑い出した｡

｢馬鹿げてるわ!!
ケプラーは`09年に打ち上げられたNASAの宇宙望遠鏡でしょ？
そんなものの写真をなんで貴方が手にすることができるのよ!!｣

｢ケプラーの運用目的を知ってる？｣

男の問いに私は思わず答える｡

｢地球以外のハビタブルゾーンを公転する地球型惑星の観測、太陽系外惑星の探査｡｣

｢お見事!!
ケプラーは既にはくちょう座のごく一部の観測だけで35個もの太陽系外惑星を発見している｡｣

ふいに男が私がしたためていた論文を手にした｡

｢ちょっと!!
かえしなさいよ!!!｣

｢君が発見したベータ波動、凄いね。
この地球には自然の形では存在しない、元々は宇宙を漂う波動･･･｡｣

｢･･･この波動を使って知的生命体を探そうっていうんだから凄いよね？｣

｢貴方、この論文の意味が解るの?!｣

私の言葉に小城は笑って答える｡

｢簡単に言うとベータ波動は脳の中でシナプス前細胞と後細胞を神経伝達物質が拡散される時に起こる電位に作用するんだったね｡
だが不思議と、我々人類の脳には反応しない｡
もし、この波動に作用し反応するのなら、それは人間以外の高度脳を持つ生命｡
つまり我々人類以外の知的生命体････｡
そういうことだろ？｣

小城は笑いながらさらに続ける｡

｢ところがさ、このベータ波動に反応する脳を持った人類がいるんだ｡
脳の機能の大部分を利用していない、我々プロトタイプとは違う人類がね｣

まるで荒唐無稽だわ。

目の前の男の話は脳科学の発展によって

判明した事実すら否定してる。

｢馬鹿馬鹿しい！｣

私は男の言葉に鼻先で笑って否定した。