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tower of “BABEL”-1/O ページ27

移動手段が他にないこともあり、結局地下鉄で移動することになった｡

最寄駅まで二人でぶらぶら歩いていくと、やっぱり誰にも気づかれない｡

二人して歩いてたら普通みんなに取り囲まれちゃうのに････

不謹慎かもしれないけど、

このカンジ････

もの凄くワクワクする｡

｢リーダー････｡
今、凄く楽しんでるでしょ？｣

俺の隣でニノが苦笑いを浮かべている｡

｢だって本当に誰も俺達のことわかんないんだもん｡
なんだか面白くって♪｣

｢確かにね｡
さっきリーダーが言ってたみたいに、みんなから仮に嵐の記憶が３日間だけ消えてるのなら、ちょっとはこの状況を楽しんでおくのもいいかもしれないね｡｣

横を歩くニノの顔はいたって穏やかだ｡

そんなニノの表情に、俺は内心ほっとした｡

・

・

夜の闇を切り裂く様に走る地下鉄に乗ると、ニノの表情はにわかに曇り始めた｡

少し苦しげに眉をひそめている｡

｢どうした？
･･･もしかして例の声が聞こえてきちゃうとか？｣

｢アタリ｡
電車の車内って狭くて人がいっぱいいるから･･･｡
逃げ場がないみたいに、ものすごい勢いで頭の中に声が響いてくるんだ･･･｡｣

｢例えばさ････｡｣

そう言うとニノは、斜め向かいの高校生に視線だけを向ける｡

俺もニノが見ている高校生へと視線を向けた｡

｢あの男の子･･･｡
ホラ、真正面に座ってる女の子がいるだろ？
彼女のことが好きなんだ｡
いつも同じ電車に乗り合わせてて･･･でも、話すらしたことのない完全な片思い｡｣

｢へぇ～!!｣

｢･･･あそこにいるさえない感じのサラリーマン｡
あの男の真正面に立ってるスタイルのいい女の人がいるでしょ？
頭ん中で彼女思い浮かべてイケナイ妄想してる｡｣

｢スッゲェな!!
本当にいろんなことがわかっちゃうんだ!!｣

俺があげた歓声に、ニノは弱々しく笑って首を横に振った｡