保健室のシンデレラ【国見英】

Cinderella21 ページ22

A「憧れだったんだー。お兄ちゃんの試合を見に行くの」


国見「へぇ………っ！？」


A「だけどその時に、イヤリングを片方失くしちゃって…」





Aの話を聞きながらさらに遡っていくと

見覚えのあるイヤリングをつけたAと
及川さんの写真を見つけた


イヤリングに手を当てているところ
貰ったその日に撮った写真だろうか


タイミングが良いのか悪いのか

俺の反応に気がついていないAは
イヤリングを失くしたと話す


だけど俺の中で今までのことが繋がって
Aの話は全く入ってこなくなった


拾った時にイヤリングに移っていた甘い香りは
Aの香水の香り


だから香水の香りが及川さんからしたとき
どこかで覚えのある香りだと思った


少し前に一度だけ思い出して
それからまたすぐに忘れてしまって


未だに机の引き出しの中で
持ち主へと返るのを待っている





A「…でね、それからお兄ちゃんが……って、聞いてる？」


国見「あ……ゴメン、なんだっけ」


A「…お兄ちゃんが甥の猛に、最近彼女にフられたことを中学のときの後輩にバラされて、ショック受けてたって話」


国見「あー…そう、だったな」


A「英、どうしたの？」


国見「なんでも…」





明らかに様子のおかしい俺を見て
Aも不思議そうな顔をしていた


まさかこんな身近に持ち主がいたなんて





♪♪♪〜





国見「うわっ」


突然持っていた携帯が震えて
画面には及川徹の文字が表示された





国見「及川さんから。まだ帰らないの？って」


A「ほんとだ。もうこんな時間…」


国見「はい、携帯返す」


A「うん」





俺が携帯を借りてるときに連絡してくるとか
どこかで見てるのかよと驚きつつ


そのままイヤリングを持っているのは自分だと
言い出すタイミングを逃してしまって


すぐに二人で店を出た

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