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放課後、やりたくないと駄々をこねるお兄ちゃんを捕まえて向かう特別棟。
「樹、バイバーイ」
「ん、じゃあな」
「じゅったんまた明日」
「はいはい。また明日」
途中の廊下でお兄ちゃんに声を掛けてくる先輩女子。
軽く返した返事でさえ、キャーと黄色い声が上がる。
「樹先輩、さよーならー！」
「さよーならー」
「ヤバッ！手ぇ振ってくれたぁ！」
後輩がわざわざ窓から顔を覗かせる。
お兄ちゃんがヒラヒラと手を振れば喜ぶ女の子たち。
もちろん遠巻きに熱い視線を送るだけの子も多い。
そう、お兄ちゃんはモテる。
それはまるでアイドルの如く、モテる。
「樹、カラオケ行こー」
「わりぃ、村上に掃除押し付けられてんのー」
「終わるまで待ってるからー」
「んー…、わかった。じゃあ後でな」
「はーい！」
そしてその隣を占拠するのは3年生、お兄ちゃんの同級生のキラキラ一軍お姉さま方。
「妹ちゃんもバイバーイ」
「…さようなら」
オマケの私とは住む世界の違う人たち。
�爐気茲Δ覆蕕世辰董△�っわいー�瓩帆�ぐのは彼女たちの本心なのか、お兄ちゃんへのアピールなのかはわからないけど。
私の心にさざ波を立てる。
「ていう事で、夕飯いらないって言っておいて」
「今日ママ夜勤だって」
「は？じゃあAが作んの？」
「そうなるね」
「……死んでも食べる」
「死んだら食べれないよ」
「…じゃあなるべく早く帰って食べる」
「うん。わかった」
看護師のママの月に何度かある夜勤の日に、ご飯を作るのも私の役目。
昔はパパが用意してたけど、壊滅的に料理が下手くそで焦げ過ぎたハンバーグとか、びっちゃびちゃのオムライスとか。
決して食べれないわけではないけど、ちょっと躊躇してしまうようなものばっかりだった。
仕方なく手伝っているうちに、少しずつ簡単な物を作れるようになって。
中学生になる頃には、それはすっかり私の担当になった。
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作者名：メロン | 作成日時：2024年1月2日 20時
