6. ページ6
結局家を出たのはそれから10分後。
2人は急ぐ様子もなく、駅に着いた頃にはなんとか登校時間に間に合う電車はもう発車していた。
急げば間に合ったのに…私が遅刻常習犯なのはお兄ちゃんのせいだ。
恨みがましくその後ろ姿を眺める。
どうしたらあんな寝癖がつくのかわからなかった髪の毛は、すっかり落ち着いていて。
きっと濡らしてドライヤーをかけただけだけど、カッコ良く見えちゃうから不思議。
しかもただカッコ良いだけじゃない。
今日はたいちゃんと一緒だから尚更。
2人並んで歩けば、すれ違う女の子も女の人も揃いも揃って振り返る。
同じ親から生まれた兄妹なのに、私はその後ろで小さくなって後を付いて行くだけで。
オマケみたいな自分に居た堪れなくなってくる。
「A？どうしたの？」
小さな劣等感が押し寄せて、1人暗い気持ちになっているとたいちゃんが振り返った。
「んー、またお兄ちゃんのせいで遅刻だなって」
きっと私のそんな気持ちに気付いたわけではないだろうから、誤魔化すように笑ってみせる。
「悪い兄貴だよね」
「今日はたいちゃんのせいでもあるけどね」
「あぁ、そっか。んふふ、ごめんごめん」
たいちゃんが全然反省なんてしてなさそうな顔で笑いながら私の頭をポンポンすると、お兄ちゃんがその手を掴んだ。
「…きょも？朝から何してんの？」
「可愛い妹愛でてんの」
「残念だけどきょもの妹じゃないんだわ」
「えっ？！そうだったっけ？！」
�爐�っかしいなぁ�瓩箸錣兇箸蕕靴�呟いて、たいちゃんが手を引っ込める。
「じゃあ俺こっちだから」
さすがのおぼっちゃまが通う高校は私たちとは真逆の路線。
それこそ可愛い笑顔を残してたいちゃんの背中があっという間に小さくなる。
「A、置いてくぞー」
「あ、待って！」
たいちゃんの背中を見送っているといつの間にか先を行くお兄ちゃんに呼ばれて、慌てて後を追いかける。
隣に並ぶと私を見下ろしたお兄ちゃんが頭をぐしゃぐしゃと撫で回した。
「きょもだから許すけど、他の男に簡単に触られんなって。男なんて何考えてっかわかんねぇんだから」
「じゃあお兄ちゃんも何考えてるかわかんないんだ」
「…さぁどうだろうね？でも俺は�爐�兄ちゃん�瓩世�らいーの」
「…だね」
本当はきっと、だからこそダメなんだけど。
小さく頷けば、お兄ちゃんがそっと私の手を取って歩き出した。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 333人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：メロン | 作成日時：2024年1月2日 20時
