ふたり (ページ32)

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32. (side Hokuto) ページ32

「おー、いらっしゃい」

その隣に同じように腰掛けていた男性…もちろん樹たちの父親なんだろうその人が俺と高地を見て微笑んだ。

「お邪魔しま〜す！」

「初めまして、松村北斗です。お邪魔します」

「北斗な。ははっ、固ぇよ！」

目尻に皺を寄せて笑う顔も話し方も樹によく似ている。

ちなみに視線の先で〝ジェス、ハッピーバースデー！〟と陽気にハグを交わしている母親の姿は、控えめなAというよりはやっぱりどっちかと言ったら樹な気がする。

それにしてもあれは相手がジェシーだからだよな？

まさか俺も誕生日だからハグされるわけ？

いや、むりむりむりむり。だってハジメマシテだよ？

俺人見知りよ？

1人どうしたもんかと恐れ慄いていると、母親とバッチリ目が合ってしまった。

凄い勢いで近付いてくるから、2、3歩後ずさる。

「松村くん？」

「あ、ハイ。初めまして。お邪魔します」

「これまたイケメン！！」

「いや、全然、そんな…」

「類は友を呼ぶって本当ねぇ」

「いえ、俺は本当そんなんじゃないんで」

「ふふ、そんな緊張しなくても大丈夫よ？ゆっくりしてって」

だけど俺の心配に反してジェシーの時のようにハグされる事はなく。

きっとあからさまに顔に出てたんだろう、〝お誕生日おめでとう〟と樹たちの母親は優しく微笑んだだけだった。

　

「さ、じゃあみんな揃ったみたいだし始めよっか。実は大我が高級なお肉持って来てくれてるんだよね」

「うっそ、マジ？！」

タイミング良くAが京本の差し入れのお肉を手にやって来ると、ワラワラとそれにみんなが群がって。

「うわ、すげぇ！！」

「大我サンキュー！！」

「トマトもあるよ」

賑やかに誕生日会という名のバーベキューがスタートした。