ふたり (ページ4)

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目が覚めたら隣にお兄ちゃんがいた。

どうやら昨日は久しぶりにうなされていたらしくて、気付いたらお兄ちゃんがいたし、当たり前のように一緒に寝てくれた。

昔からそうだった。

お兄ちゃんの手から伝わる体温が大好きで、とにかく安心出来て、よく眠れた。

未だにそれが抜けなくて、高校生になってもこうして甘える夜がある。

「…いつもありがと」

小さく呟いてから、気持ちよさそうに眠るお兄ちゃんを起こさないように、そっとベッドを抜け出した。

チラリと時計を確認する。

時刻は6時。

お兄ちゃんを起こすにはさすがに早過ぎるから、そのまま1階に降りてキッチンでお弁当を作るママと挨拶を交わしてから学校へ行く支度に取り掛かる。

途中、朝っぱらから鳴り響くインターホンに驚きつつも、こんな朝早くに我が家に来るのはたった1人だし、ママも当たり前のように迎え入れた。

ちなみにやって来たのは幼馴染のたいちゃん。

「大我、ご飯は？」

「食べてない」

「食べるよね？」

「うん。卵焼きー！」

2人の会話を聞きながら、再び時計を確認する。

そろそろお兄ちゃんを起こさないと遅刻する時間になっていた。

「お兄ちゃん、朝だよ」

部屋に戻って一応声を掛けながらドアを開けてみたけど、未だぐっすり寝入ってらしい。

私のベッドで布団を被ったお兄ちゃんはピクリとも反応しない。

「お兄ちゃん」

「……んん、」

「ねぇ、お兄ちゃんてば！起きて！」

「……あ゛？！」

無理矢理に布団を剥げば、目を閉じたまま一気にお兄ちゃんの眉間に皺が寄った。

多分他の人にされたら一瞬怯むだろうおっかない顔。

お兄ちゃんがお兄ちゃんじゃなかったら、絶対に近付きたくないタイプだ。

でも毎日見てたら自然と慣れるもので、お構いなしに体を揺する。

「朝だよ？起きて！」

「……無理ぃ」

起こされてる事を自覚し始めて、今度は甘えた声を出し始めた。

「無理じゃない！」

「……あと5分」

「置いてくよ？たいちゃんと2人で先に行っちゃうよ？」

「……は？」

私の言葉にようやくお兄ちゃんは起き上がった。