ふたり (ページ25)

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ラーメンを待つ間、こないだ途中で終わってしまった誕生会の話が始まった。

飛び交う会話を聞きながら、隣に座ったさくらちゃんの首が左右に行き来する。

動きが小動物みたいでまた可愛い。

「もー、きょものせいでうちになっちゃいそうじゃん」

「良いじゃん。樹んち広いし」

「きょもにだけは言われたくねー」

「ねぇ高地？決定権は京本くんにあるの？」

「知らねぇよ！俺に聞くなよ！」

「樹ー、別にくん付けしなくて良いんだけどー」

「直接北斗に言えよ！」

こないだ帰りに偶然会った時が〝はじめまして〟だったからか、2人は余所余所しく高地くんと樹を通して会話してるのがとてつもなく気になるけど。

誕生会はなんとなくうちでバーベキューする事になりそう。

「あ、さくらちゃんも良かったら来ない？」

騒がしい中、私の目の前に座る樹がふと思い付いたように言った。

満面の笑みで笑い掛けるから、さくらちゃんの色素の薄い茶色の瞳が戸惑ったようにフワフワ揺れて、大きな目が樹に釘付けになった。

効果音を付けるとしたら、まさしく〝キュン〟。

ほんのりとピンクに染まる頬がその証拠だ。

さくらちゃんと仲良くなれて、こんな風にワイワイと過ごす事が出来て嬉しいはずなのに。

その横顔にここに誘った事を少しだけ後悔する。

「お！良いじゃん！さくらちゃんもおいでよ〜」

「ジェしジェし！なんつって！！」

「しょーもねー事言ってんなよ！」

浮かんでしまった後ろ暗い気持ちはみんなの賑やかな声が掻き消してくれた。

「そうだよ！おいでよ！陽奈ちゃんも来るから！」

便乗するようにさくらちゃんに笑顔を向ければ嬉しそうな返事が返ってきて。

誤魔化した自分がどうしようもなく情けなくなって。

つい逸らした視線の先で、不思議そうな顔をした北斗くんと目が合って、慌てて逸らした。