ふたり (ページ22)

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「Aちゃん、お疲れー！」

「さくらちゃん、お疲れ様」

陽奈ちゃんにバイトしないかと誘われたのは冬休みが始まる少し前。

なんでもバイト先のカフェで、2人ほど急に辞めてしまったらしく、人が足りなくて困っているという事だった。

もちろん樹とたいちゃんに〝カフェでバイトなんて危ないからダメ〟ともの凄い勢いで止められた。

何が危ないかはさっぱりわからないし、陽奈ちゃんが困っているのは放っておけない。

2人をなんとか説得して私がバイトを始めたのは冬休みの事。

さくらちゃんはそこのバイトで知り合った子で。

同じ年の、ふんわり笑う顔に優しさが詰まっているような、笑顔の可愛い女の子。

「お兄さん、今日もお迎え来るの？」

「あー、多分？」

「仲良しだよねぇ。バイトの度にお迎え来てくれるんだもん」

「心配性なだけだよ」

頼んでもいないのにバイトの日に必ずお迎えに来るもんだから、すっかりバイト先でも有名人の樹。

店長に至っては〝カッコ良いからうちで働いて欲しい〟ととんでもない理由で、何度も樹を勧誘していた。

さすがにバイトまで一緒なのはどうかと思うので、私が全力で拒否したけど。

更衣室でさくらちゃんと話しながら着替えを終えて店を出ると、そこにはすでに樹がいた。

それから、何故かいつものメンバー。

あ、たいちゃんまでいる。

「今日は御一行様だぁ」

さくらちゃんが声を上げた。

そのゆるふわな口調のせいで驚いているようには聞こえないけど、大きな目がまん丸になっている。