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それからご飯でも食べて帰ろうかと最上階のレストラン街で早めの夕飯を食べながら。

先日の田中くんとの出来事をかい摘んで話す…さすがに耳元にキスされた事は言えなかったけど。

それを聞いた山田さんが私の隣に置かれた紙袋に視線を落とした。



「え?!じゃあ田中くんのは?」

「…買ってません」

「本当に松村ちゃんプレゼントする気?!」

「ま、まさか!そんな事するわけないじゃないですか!」

「じゃあプレゼントどうするの?」

「…やっぱりあげた方が良いですかね」

「…期待してると思うけど」

「…そうでしょうか」

「…告白されたんだよね?」

「告白とは違うと思います」

「どう考えても告白でしょーが」



山田さんは若干呆れたような顔をして、残り半分ほどになったトマトソースのパスタをフォークに巻き付けた。



「…まだ時間あるから行くよ」

「…え?」

「プレゼント、買いに行くよ?」

「えぇ〜」

「えぇ〜じゃないよ。はい、松村ちゃんも早く食べる」



山田さんが綺麗に巻かれたそれをパクリと口に放り込む。

じっとそれを見ていると"ほら早く"とせっつかれて。

話す事に夢中になっていてすっかり置き去りになっていたペペロンチーノを仕方なく口に運んだ。



「…何が良いと思いますか?」

「自分で考えなよ」

「ちょっとくらい相談乗ってくださいよ。お兄ちゃん以外の男の人にプレゼントなんて滅多にあげた事ないんです」

「なんだって良いのよ。多分松村ちゃんが田中くんの為に一生懸命考えたものだったらなんでも喜んでくれるってば」

「…そうですかね」



喜んでくれる自信はあんまりないけど、嬉しそうな田中くんの笑顔は簡単に想像出来る。

目を細めて目尻に皺を寄せて、くしゃりと崩れた田中くんの顔を想像するだけで、勝手に頬が緩む。

単純な自分に半ば呆れながらも、何が良いか片っ端から色んな店を覗いた。

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作者名:メロン | 作成日時:2023年6月4日 20時

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