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それにしてもこの人は一体誰だろうと2人を見上げていると、それに気付いたのか田中くんと視線がぶつかった。
「あ、悪い。紹介するわ。俺の仕事仲間」
「初めまして。京本大我です」
「初めまして。松村Aです」
「ふふ、今聞いたよ？」
"きょも"さんこと京本さんがにっこりと笑う。
その顔があまりにも綺麗で、食い入るように見つめていると"なんか照れちゃうなぁ"と京本さん。
同じように見つめ返されれば、勝手に顔が熱くなる。
「…松村さんごめんだけど、きょもはダメだわ」
決してそういうつもりじゃなかったんだけど、田中くんに言われて慌てて目を逸らした。
「きょもは俺のだから」
なんて真面目な顔で、京本さんの肩を田中くんが抱き寄せる。
京本さんも拒否するどころか綺麗な笑顔のままだから。
「えっ？！そうなの？！ごめん！綺麗だなって思ってつい！変な意味はないから！」
必死に否定すると、田中くんは何故だか楽しそうに吹き出した。
「ウソだよ！」
「え？！」
「ごめん。ウソだからそんな困んないで？」
「ビビったー。俺いつから樹のになったのかと思ったじゃん」
わざとらしくそう言う京本さんの肩から手を離して、"信じたの？"と私の顔を覗き込んだ田中くん。
「…相変わらず可愛いとこあんね？」
至近距離で記憶の中と同じ顔してくしゃり。
あの日と同じように私の心臓がドキリと反応した。
この距離でその顔は、やっぱり心臓に良くないと思う。
先輩は田中くんと京本さんの2人を見るなり二つ返事で飲みに行く事を了承した。
つい今し方まで話していた人とはあっさり話を切り上げた。
なんでもすでに連絡先は交換したので、大丈夫らしい。
向かったのは近くにあったBAR。
軽く挨拶を交わした後、小さく乾杯した。
「松村ちゃんにこんなイケメンな知り合いがいるとは…」
「知り合いっていうか高校の同級生で、会うのは卒業振りです」
「いきなり距離取るじゃん」
「でも実際そうだし」
「まぁまぁそうだけど」
「樹ざんねーん」
「京本さんは初めましてだし」
「はいきょもざんねーん」
何気ない会話に田中くんが笑っている。
改めてその顔を見ると不思議な気分になってくる。
だって相手はあの田中くん。
クラスどころか学校中の人気者。私とは住む世界が違った人。
思いもよらぬ再会。
まして田中くんが私の事を覚えていて、この年になった今、一緒にお酒を飲むなんて信じられない。
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作者名：メロン | 作成日時：2023年6月4日 20時
