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田中くんの言う通り運ばれて来たピザはめちゃめちゃ美味しかった。
「こないだも思ったけど、松村さんてうまいモン食うと目2倍くらいに開くのな、かわい」
何かにつけて可愛いと言うのは、この人の癖だろうか。
それにいちいち反応しちゃう私も私だけど。
無言でピザをモグモグ口に押し込んで誤魔化していると"で、すぐ照れる。ほんと可愛い"と目尻に皺を寄せて笑う。
やっぱり来なきゃ良かったと僅かに思いながらも、ピザは美味しい。
「あ、こっちのパスタもうまい。松村さんのおかげで頼めるモン増えたわ」
そして、他の料理も美味しい。
ビールも進む。
田中くんが余計な言葉を挟まなければ、会話もスムーズ。
高校の時の話になれば、購買のどのパンが好きだったとか。
意外と人気だった自販機の紙パックジュースとか。
生徒指導の先生が恐ろしく怖かった…私は怒られた事はないけどもう見た目が怖かったのだ、とか。
生徒に人気の可愛い英語の先生とか。
担任の先生のクセとか。
文化祭のコスプレ喫茶…もちろん私は裏方だったし、田中くんはお客さん集めに学校中を歩かされていたらしい、とか。
住む世界は違ったけど、共通の思い出はたくさんあって。
思いの外盛り上がる。
「そういえば夏頃にクラス会開くとか聞いた気ーするわ。松村さんて一回も来た事ないよな？」
「あー、うん。仲良かった子違うクラスだったし、私が行ってもねぇ？」
自分がクラスで多少なりとも浮いた存在だったのは自覚してる。
それでも話す友達は何人かいて。
時々連絡もあったりするけど、さすがにクラス会に私が参加しても、と思うわけで。
何度か誘いはあったものの、断るのすら申し訳なくて声を掛けなくて良いと言った事がある。
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作者名：メロン | 作成日時：2023年6月4日 20時
