78 - 本編 ページ18
【稽古8】 ちょっとずつゆっくりで
＊
天気がいい。雲ひとつない青空だ。
疲れからかボーッと空を見上げる。
虎杖
「…大丈夫か？」
空を見上げ動かない私を心配してか、悠仁がひょっこりと視界に入ってくる。
そうだ、ずっと気になってた事があったんだ。
A
「悠仁って、隠れてる間何してたの？」
虎杖
「言ってなかったけ？」
A
「うん。」
そっかー。と、言いながら悠仁は私の隣に寝転ぶ。
虎杖
「隠れてる間はさーーー
＊
なるほど。
あの時帰りが遅かったのも、なんか焦げ臭い臭いがしたのも全部納得がいった。
A
「てか、悟の領域展開見たんだ。」
凄いよね、あれ。と、続ける。
領域展開は誰しも必ずできるわけではない。
才能に溢れる限られた呪術師のみができる。
恵には確かな才能がある。
だからあの時、領域展開をできたんだろう。
A
「私もあれぐらい強くなりたいな。」
虎杖
「俺も。」
私にはきっと出来ないだろうな。
いくら彼と同じ六眼を持っていても、越えられない壁は絶対に存在する。
そもそも呪術なんて知らなかった私が、今生きてる事自体奇跡みたいなもんだ。
A
「もっと…頑張らなきゃ。」
私が強くなれば、大切な人を失わなくて済むはずだ。
失いたくないなら私自身が強くなるしかない。
虎杖
「ま、気長に行こうぜ。」
A
「…え？」
虎杖
「皆でちょっとずつ強くなればいいじゃん。」
な？と、悠仁は屈託のない笑顔を向ける。
A
「…いやお前が言うか！1番早死するの悠仁だろ。」
「宿儺指の食ってんだからさ…。」
「悠仁は早く強くなりなよ。」
虎杖
「それもそうだな！」
「じゃあ、お互い頑張ろうな。」
屈託のない笑顔でそう言った。
＊
虎杖
「そうだ！俺も聞きたい事あるんだけどさ！」
A
「なに？」
虎杖
「…Aって、五条先生と付き合ってんの？」
A
「ねぇよ。」
虎杖
「え？だって釘崎がーー
「あのバカ目隠しからAを奪うよの！」
「そんで伏黒とくっ付けてやるわ！わかった！？」
「って、言ってたぞ？」
A
「…悠仁それ私に言っちゃダメなやつ…。」
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作者名：mito | 作成日時：2021年1月17日 0時
