返して! ページ5
「キセキでも起きればいいのに……」
そんな事を呟いた私……
人ごみを見つめながら、
そんな事起きるわけないか… とため息をついた。
もう帰ろう、忘れよう…
そう思った時、 不意に背後から声がして…。
滝「あのー… もしかして何か探してます?」
振り返って驚いた。
顔を隠すためか帽子を被っていたが、深くないから一瞬で分かった。
「た、滝沢くん?!?」
私の言葉に苦笑いして彼は口に指をあてた。
滝「あまり大きな声で言わないで…」
「あっ…ごめんなさい…」
彼は手招きをして人ごみから完全に見えない路地裏に連れていった。
そして私に見せてきたのは…
1枚の花びらがラミネートされたカード。
「あっ! これ探してました!! 私のです!」
滝沢くんが持っていることに驚きはあったが、それよりも大事なものが見つかった喜びの方が先に来てしまって、
思わず手を伸ばした。
サッ--------
「えっ…?」
私の手を…交わした?
驚いて滝沢くんを見た。
滝沢くんはニコニコ笑っている。
「あ、あの… それ、私のです」
滝「うん」
「えっと… 拾ってくれたんですか?」
滝「うん」
「ありがとうございます」
滝「うん!」
『うん』と言うだけで返そうとする気のない滝沢くんに私は手を出した。
「返してください!!」
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作者名:sugi | 作成日時:2023年2月28日 21時