＊【るす＊まふ】 黒 王 子 ＊

◆黒王子＊０３ ページ4

『……ん…』


思わず声を出してしまった。

なんだかんだ言って真冬くん以外の男の人とのキスは初めてで。


真冬くんくらいに、いや、真冬くん以上に深いキス。


力があれば私のこの抵抗も意味を成してくれるというのに、生憎黒川くんの方が圧倒的に力が強い。


深く深くなっていくキス。

私の襟元に手を掛けてきた。


とっさにその腕を止めようとするがそれも無意味。


何もしないといいけど、だなんて思った直後、襟元を一気にバッと開いてくる。


いきなり晒された肌。


不意に私のネックレスを外してくる。



「こんなの付けてたらまふくんのこと忘れられないやん」


私から見えないところにネックレスを置くと、今度は首筋にキスを落としていく。

思ったよりもくすぐったくて変な声が出そうだ。



『光、くんっ…！一旦、一旦やめよう、かっ…！？』



人の話を聞いてないのか…。


ただだされるがままにされるのもそろそろ限界だ。


と、ちょうど良くインターホンが鳴る。

それに驚いて光くんが後ろに振り返る。

今の内にボタン留めておかないと。


まあ、



「おっ邪魔しまーす！」



それも間に合わなかった訳で。


コンビニの袋を掲げた坂田くんが入ってきた。


「あ、あれ…？もしかしていいところだったとか？」


容赦無く聞いてくる坂田くんに全然！何もないよ！！と必死に誤魔化した。


「とりあえずお弁当買ってきたからお昼にしようよ！」


元気な坂田くんの発言に、私も光くんもうなずいた。

…私、光くんとうまくやっていけるのだろうか…。

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