届かないキモチ two* ［ SZ Shori ］

58　まだ怒ってる ページ28

「ねぇ、勝利くんと優先輩別れたらしいよ？」

　「えっ、うそｯ!?」

　「意外だよねー！」


　…勝利。

　やっぱり悲しそうな顔だ…


　もう、そんな顔されたら
　私我慢の限界じゃんｯ…


　A「…勝利？」


　いつのまにか私は、勝利の前に居て…


　悲しいであろう勝利を慰めようとした。


　勝利「…なんだよ。」


　…あ、昨日私は勝利を怒らせたんだｯ


　そんな大事なことを忘れて
　今の勝利を心配した私が虚しかった。


　A「…ごめんｯ」


　ﾀﾞｯ


　私はまだ騒がしい教室を飛び出した。


　ダッシュで涙を隠して
　寂しいキモチを隠して…


　
　ﾄﾞﾝｯ


　「…いってえなｯ」


　A「…す、すみませんｯ」


　

　最悪だ。

　なんで、こんなタイミングで…


　「…Aか？」


　A「…えっ」


　「なに、泣いてんだよ…」


　A「…健人先輩ｯ」


　なんでだろう。

　私の頬に健人先輩の指先が当たった瞬間、
　涙が止まらなかった…


　A「……ｸﾞｽｯ」


　健人「…」


　健人先輩はずっと頬を撫でてくれた。


　そんな空間がなぜか落ち着いて
　涙が止まらなかった…


　勝利「ｯ…」


　…なんで、私は気付かなかったんだろう。


　私たちのすれ違いは必ず、
　自分のキモチじゃ気付かない。

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