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「…は、はっはは!
死人に口無しとは言うが___きみは」
「相当馬鹿な娘のようだな」
一気に至近距離まで詰め寄られ、高く飛躍して躱わす。
「___貴方になにが、」
「まあそれも善い。
きみは、サンタクロースを信じる幼い子どもだ」
「わかるって言うのよ!!!!!!」
感情に任せてクインケを光速の勢いで突き刺す。
“【オウル】は近接、遠距離両刀で桁違いの火力を発揮できるクインケだ
そのぶん防御性能が0に等しい…というか、備え付けられていないデメリットもあるが、間違いなく史上最強火力のクインケらしいぞ
Aなら使いこなせるだろう…ゆっくり休んで体調を治せ”
病室で瓜江さんに言われた言葉が脳裏をよぎる。
近距離でも遠距離でもこんな火力…見たことない。
格下の相手なら数発で飛んでる。
「(…厄介なのは、特別頭が切れるってこと
…ほら)」
突き刺した“彼”は十字架のような破片を舞わせ散り散りになった______が。
「(“本体”じゃ、ない)」
なら、“本物”は?
「(どこ_____)」
辺りを見回す。
前には彼の破片だけ。
上には瀕死状態の瓜江さん。
後ろには、
「前方ががら空きだな」
_____あ、
さっきの方角を振り向くと“本物”はいて、瞬く間の速さで赫子が迫ってくる。
それが異様に遅く見えるのは、きっと___
「(ここで、おわるんだ)」
脳内を緩やかに蝕んでゆく、“死”の気配。
この一撃を受ければ、確実に____死ぬ。
手に持つクインケを起動させる余裕はあるはずもなくて。
「(パパ、ママ、ごめん
わたし、大人になれなかった
おじいちゃん、おばあちゃん、ごめん
仇、とれなかった
お兄ちゃん、ごめん
あなたみたいに立派な捜査官になれなかった
政道、
ごめんね、
あなたの願い、叶えられなかった…)」
目を瞑って運命に身を委ねようとした______
ガン、という聞き覚えのない強く鈍い音が聞こえた。
「_____ふむ」
力強く瞑った瞼をゆっくり開いて______信じられない光景を見た。
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作者名:惰 | 作成日時:2023年7月21日 23時