この手、ぎゅっとつないで (ページ37)

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ある日、わたしが風邪をひいて一緒に行くはずだった教会に行けなかったことがあった。

おじいちゃんとおばあちゃんから電話が来て「孤児院の子どもたちにお菓子を持っていくけどたくさん余ってるから元気になったら食べにいらっしゃい」って言われた。

……翌日だった。

ふたりの訃報を聞いたのは。

自宅の庭で心肺停止だと聞いたけど、
子どもだったわたしはそれもよくわからなくて、
ふたりにもう会えないという事がただ悲しくてたくさん泣いた。

それから、わたしの記憶は失われてた。

5歳にも満たないわたしにとってはあまりにもショッキングすぎて。

……そしてCCGに入局して、〝彼〟の名前を再び聞いた。

「お兄ちゃん、その資料は？」

「……ドナート・ポルポラ。〝神父〟とも呼ばれてる

『自身の持つ孤児院で大量の孤児を殺害し、捕食してた』」

「なにそれ、ひどい……

……あれ、このひと」

「A」

「？どうしたの、お兄ちゃん」

今思い出せば、お兄ちゃんはあの時気を使ってくれてたのかもしれない。

「……今日の夜ごはん、Aはなにが食べたい？」