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それから1週間経って、瓜江さんは病室にクインケを届けに来てくれた。
知行さんからの言伝で、「オウルの圧倒的な火力を活かし、防御性能を捨てて攻撃特化のクインケを作った」……って聞いた。
「レートはSS+、火力で言えばナルカミやIXA、アラタも凌ぐ最強のクインケだそうだ」って瓜江さんは言ってた。
「……そんなに、強くなったんだ、」
きっと望まなかった形で強さを手に入れた政道にどうしようもない想いを馳せて、アタッシュケースを抱きしめた。
「おかえり、政道」
________
「……Aん、
つらいな」
そう言って才子さんはずっと、全身であたたかく抱きしめてくれる。
「___流島で、黒くておっきい人に会ったんよ」
突如そう言った才子さん。
黒くておっきいひと、？
「……」
「亜門さん、っていう人やった」
「あ、もん、さ……？」
あ然とした。
亜門さん、？
あの亜門さん、だよね？
どういう事？
「Aんのこと、心配しとった」
「……！」
「知り合い…やったんやろ？」
「なにが間違ってるのか正しいのか、わからなくなるから……
考え続けろ、って言うとった」
「……亜門さんは、喰種に？」
才子さんはこくり、と頷いた。
……亜門さんまで。
政道とおなじで遺体が回収されなかったからおかしいと思ってたけど___そういう事だったんだ。
「亜門さんは、」才子さんはまたゆっくり口を開いた。
「Aんに、自分を責めるなって言うとった
Aは…ひとりじゃない、って」
「……！」
亜門さん。
感極まって何も言えなくなって俯く。
「だから、私らがおるよ、Aたん」
……才子さんはそう言って、再び強く抱きしめてくれた。
「(……あったかい、)」
「いまは…色んなことあって、訳わからんよな
でも、才子らがおるから……
Aたんはひとりぼっちになんか、させへんよ」
才子さん、ほんとうにいいひとなんだな。
そんな当たり前のことを再認識して、じわりと目の奥が熱くなる。
「だから今はゆっくり休んで、
たらふく美味しいモン食べて……ゆっくり治してこ。な」
ああ、
パパ、ママ……お兄ちゃん、政道。
わたし、こんなに優しい人たちに恵まれたよ。
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作者名：惰 | 作成日時：2023年7月21日 23時
