「会いたい。（深澤辰哉）」 (ページ29)

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Noise. ページ29

「...A」

耳元で大きめの声で名前を呼べば、ようやく反応してくれる。

『......辰哉』

「ん、」

『怖いよ』

「...俺も、怖い」

あと数日で、完全に聴こえなくなる。

右耳が聴こえなくなってしまえば、Aは視覚に続いて聴覚も完全に失う。

『...翔太くん』

渡辺「...なに...？」

泣きそうな顔でAに近づくなべ。

ベッドから少し離れたところでは、7人のメンバーが俺らを見守っている。

『私のわがままに付き合ってくれてありがとう。翔太くんから辰哉の話聞けてなかったら私多分もっと早い段階で諦めてた。それに、辰哉と会わないまま過ごすつもりだったから...本当にありがとう』

泣きそうだったなべはもう大号泣。

渡辺「勉強大嫌いな俺が死ぬ気で勉強して点字マスターしたんだから、これからもいっぱい話そうな」

『うん、よろしくね。翔太くんの歌聞けなくなるの寂しいなぁ』

渡辺「死ぬほど聴かせたから染み込んでるでしょ？」

『うん、覚えておく。...辰哉』

「...ん、」

『大好きだよ。15年も好きでいてくれてありがとう』

「お互い様じゃん？」

『......私、辰哉の声が1番好き』

「声だけ？」

『ううん、全部大好きだよ』

「俺も、全部愛してる」

『メンバーさん、辰哉をよろしくお願いします』

岩本「もちろん」

「まだまだAにもお世話になるけどね」

『ちょっとくらい自分で頑張ってよ(笑)』

だんだん聴こえなくなってきたみたいで、顔を歪めるA。

メンバーのことは気にせず、キツく抱きしめる。

「......A、愛してる」

耳元で呟くと、Aは一筋の涙を流した。