「岩本さん。（岩本照）」

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「……ひーくん？」




岩本「……ん？」




「…なんかあった？」




お店を閉めて、いつも通り2人でケーキタイム。




その間、ずっと眉間に皺を寄せてるひーくん。




岩本「……」




切長の目がじっと私を見つめる。




岩本「……Aはさ、…キス、したことある…？」




「へ……」




突然すぎる思わぬ質問に、意味もなくわたわたしてしまう。




それを肯定と捉えてしまったのか、しょんぼりした顔をするひーくん。




「違、ひーくん、したこと、ないよ」




岩本「……ないの？」




「…うん、」




岩本「…じゃあ、今俺がしたら、俺がファーストキス？」




「…………うん、」




岩本「……そっか」




しばらく無言。…え、なんでそんなこと聞いたの…？




ちょっと経って、また私を捉える。




岩本「……キス、してもいい？」




「……え、」




岩本「あ、ごめん、嫌なら「嫌じゃ、ないよ」」




岩本「……ほんと？」




「…うん」




ひーくんが立ち上がって、向かいに座る私の元に来て跪く。




岩本「……A、好きだよ」




「…私も」




ふっと微笑んで、私の頭を撫でる。




岩本「目、閉じて」




素直に従うと、頬に手が添えられ、下から煽るように、そっと唇が押しつけられた。




…人の唇って、こんなに柔らかいんだ。




数秒重なった後、ちゅっ、と音を立てて唇が離れる。微笑みながらおでこをこつんと合わせられて、恥ずかしくて目を逸らした。




岩本「…こっち見て？」




「…やだ、」




岩本「なんでよ」




「……はずかしい、」




岩本「……んふ、かわい、」




ぎゅっと抱きしめられ、ひーくんの匂いに包まれる。




岩本「……A、大好きだよ」




耳元で囁かれたその言葉に、私の赤い顔はさらに赤みを増した。








　 《番外編》ファーストキス〜END〜

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