「深澤辰哉は言わせたい。（深澤辰哉）」 (ページ16)

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「お、出た。やっほ」

『うん』

辰哉の出張初日。

ほぼ毎日一緒に家に帰ってるから、1人で歩く道がびっくりするくらい寂しかった。

『大阪、どう？』

「ん、楽しかったわ。ただ翔太が日焼けする日焼けするってうるさくて」

渡辺翔太、岩本くんと同じく高校からの同級生。

今回、辰哉と一緒に出張に行ってる人。

『あは、言いそう』

「たこ焼き美味かった」

『うわ、ずる。お土産で買ってきてよ』

「えーでも明日奈良だもん」

『...だもんってやめて』

「なんでだよ！」

優しく笑っている辰哉だけど、やっぱり画面越しなんかじゃ全然足りない。

会いたい。

早く1週間経たないかな...猫型ロボットがやってきてタイムマシンくれたりしないかな...

「......あのーAさん、全部漏れてますよ？」

『え、』

「ふはは、やっぱ無意識！」

『......』

渡辺「あれ、ふっか誰と喋ってんのー？」

「うげ、翔太シャワーから出てきちゃったわ」

渡辺「うげってなんだよ。てかAちゃんじゃん、久しぶり」

『久しぶり』

渡辺くんは辰哉の代わりによく出張に行ってくれていて、ほとんど本社で見かけることはない。

最後に見たのは1ヶ月前くらい。

『2人同じ部屋なんだね』

渡辺「そー最悪だよ。こいついびきうるさいのに」

「おいうるさくねぇだろ！」

渡辺「うるさいわ」

「うるさくない！」

『辰哉、うるさい』

「......」

渡辺「ふははは、黙った！(笑)」

そんなくだらない会話をずっとしていたら、気がついた時には時計は22:00を指していた。

「やば、明日6:30起きなのに！」

『辰哉と渡辺くんで6:30起きとか絶対無理じゃん』

渡辺「おい！...合ってる」

「Aー明日モーニングコールして？」

『はぁ？』

「お願い！お願いお願い！」

『...分かったよ、』

「ありがとう、流石A！」

渡辺「マジで助かる、ありがとな」

翌日6:30に電話をかけたけどもちろん繋がらず。

やっと電話に出たのは7:00直前で、大慌てで準備している音が聞こえたのは言うまでもない。