Regrets of Love 5

45-1　2009.5 ページ44

まさか、こんなことになるとは思わなかった。
いや、でも考えればわかることだと言われればそれまでだった。



篤人の代理人と会ったのは、仕事が終わった21時過ぎだった。

「秋山です。ちょっとお話が」

店の前で待っていたらしく、私と店長が店を出るとすぐに話しかけられた。


秋山さんには、過去2回くらい会ったことがあって紹介されがてら食事をしたりした。
私に対して、いい印象は持ってなさそうだった。
「内田篤人という商品の邪魔者」くらいに思ってたかもしれない。



秋山さんと2人で会うのはもちろんこれが初めてで、篤人からも何も聞かされてなかったから
ただただ不安でしかなかった。


篤人に何かよくないことが起こったのかな。
ケガとか？
事故とか？

そんな不安な思いのまま車に乗せられ、近くの静かなカフェに入った。



「ごめんね、仕事帰りで疲れてるのに」

「いえ…」

口調は至って穏やかだけど、私に有無を言わせない何かが漂っている。

私たちはお互いアイスコーヒーを頼むと、しばらくの間黙っていた。

アイスコーヒーが運ばれて来て、やっと秋山さんが何かを取り出し口を開いた。



「これ…わかるよね」



テーブルに置かれたのは薄っぺらい雑誌だった。
表紙には水着の女の子が笑顔で写ってる。


その表紙の右肩には、どうがんばっても読めてしまう赤い文字。


『内田篤人、ついにスクープ！深夜の車中キス現場！！』

45-2→←44-9　Atsuto side

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す