Regrets of Love 5

42-5　Atsuto side ページ28

流れてきた音楽はなかなか心地いいものだった。

「何系なの、これ」

「何系。ジャンルで言えばハウス」

「ふーん」


Aはアパレルという職業上、いろんなパーティとかイベントに呼ばれるみたいで
どんどん洗練されていく。

とてもじゃないけど、静岡出身とは思えないくらいだ。

俺から見て…ってだけだけど。


俺は相変わらず服とかには無頓着だし、Aが全部決めてくれるから
別に俺が興味を持たなくてもいいやと思ってる。





車は右に向けて走り出す。

ほんとに行先は決めてない。

どこでもいい。

何も考えずに走ってたかった。



「私この曲が一番好きなの」

「なんてやつ」

「『skyhigh』。篤人の着信音これなんだよ」

「へー、こんなんがいいの」

「ずっと聞いてると良さがわかる」

「ちなみに俺のケータイのAの着信音、青山テルマだから」

「びっみょーーーー笑」



右に行った結果、到着したのは隅田川だった。

永代橋付近に車を停めて、川沿いを歩く。


「もう夜風もあったかくなってきたねー」

「来年ここ夜桜見に来ようよ」

いろんなことをつぶやきながら、俺の手をそっとギュッと握る。


離さないように。


離れないように。


ずっと。

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