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Driving 後日談 ページ4

あのバイクで出掛けた日から数日後。
監督に"渡したいものがあるから部屋に来て"と言われて、部屋を訪れた。
夕方の稽古が終わり、就寝時間の少し前。
ノックをすると、返事が聞こえ、間もなく扉が開く。

十座「言われた通り来たが…」
『うん、待ってたよ!どうぞどうぞ!』

入るように促され、渋々と足を踏み入れる。
女の部屋に入るのは、ちょっと気が引ける。
だけど、テーブルに並べられた物を見て、そんな思いも吹き飛んだ。

十座「これ…」

そこには、天鵞絨街に新しく出来たケーキ屋のケーキ。
ショートケーキ、モンブラン、フルーツタルト、シュークリーム、プリン…
目をつけてたやつばっかりだ。

『えへへ、こないだバイクの後ろに乗せてくれたお礼!よかったら食べて?』
十座「いいのか?」
『もちろん!臣くんと太一くんには別でしたから。十座くんにはやっぱり甘いものかなって思って。ほら、座って座って!』

促されて座る。
手渡されたフォーク。
いただきます、と言ってからショートケーキを一口掬って口に運んだ。
苺の甘酸っぱさと、クリームの甘さが調和されて旨い。
他のも一口ずつ食べていく。
どれも旨くて、思わず頬が緩む。

『…美味しい?』
十座「あぁ、旨い。ありがとな。」
『ふふ、喜んでもらえて良かった!』

じっとこちらを見ている監督が、俺を見て笑った。
一人で食べているのも味気なくなって、ケーキを掬い、監督へ差し出した。

『ふぇ?』
十座「監督も食えよ、旨いぞ。」
『い、いや、いいよ!そもそも、お礼なんだし…!』
十座「でも、二人で食べた方がきっと旨い。」
『!』

ほら、と差し出す。
少し視線を逸らした彼女の頬はほのかに赤らんで見える。

『じゅ、十座くんて、天然タラシだよね…』
十座「?悪ぃ、何だ?聞こえなかった。」
『〜!何でもないです!いただきます!』

勢いよく、ぱくりと口に含むと、ぱぁっと明るい表情になる。
そんな表情を見て、俺も笑った。

『おいひい〜っ!』
十座「だろっ?」

そのあと感想を言い合って、暫く談笑して、部屋へと戻った。
こういう時間も、たまにはいいもんだな。
そう思いながら布団に潜る。
今日は何だか、夢に監督が出てくるような気がした―――

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作者名:宇宙 | 作成日時:2018年6月29日 11時

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