満開な花を君に。2 (ページ18)

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独占欲 2 ページ18

俺と話ながら少しだけ顔を出した監督。
その隙間に手を入れてドアを開ける。
するとそこには、黒いビキニを身に付けた彼女が顔を真っ赤にして立っていた。
予想以上に大胆なその姿に、思わず息を飲む。

『す、すみません！急ぎだったので試着せずに買ったら思ったよりその、大胆で…！恥ずかしくて出られなくて…！』

必死に言い訳をする彼女に、というよりその姿の監督に、言葉が出てこない。
正直とても似合っているし、着痩せするタイプなんだなとどこか冷静に思う。
だがそれ以上に落ち着かなくて、この姿を誰かに見せるのは嫌だと直感的に思った。

『す、すみません…似合わない、ですよね…。私泳ぐの諦めて着替え直すので、丞さんは皆のところに…』
一成｢カントクちゃーん？タクスー？｣
丞｢っ、入れ！｣
『え、えぇ？！』

探しに来たであろう三好と兵藤の姿を遠くに捉えた俺の身体は、監督をロッカールームの奥へと押し入れ、同じ空間に自身の身体も滑り込ませる。
後ろ手に鍵をかけて、息を沈める。
狭い空間に二人きり、俺が彼女を抱き締めるような格好で収まる。
心臓の音が聞こえてしまうのではと思うほどの密着感。
何故こんなことをしたのか？
……それは、きっと、独占欲。
ただの劇団員と監督だったはずなのに、いつからこんな風に思うようになったかは覚えていない。
必死に隠してきた想いだが、もう隠しきれなかった。
そのまま二人の気配が遠ざかるのを待って、ふぅと長い息を吐いた。

『た、丞、さん…？』
丞｢……悪い、その姿を他のやつらに見せたくなかった。｣
『そ、それって…？』

そう言って、自分のTシャツを脱いで彼女に着せる。
驚いた表情で見上げてくる彼女の頭に、そっと手を乗せた。

丞｢それ着てれば恥ずかしくもないだろ。それに、その格好を俺以外の誰かに見られることもない。｣
『え、えっと…それは…』
丞｢その姿をするのは、俺の前だけだぞ。A。｣
『～～～っ！』

熱を持っているだろう頬を押さえながら、小さくはいと応えた彼女に微笑みかける。
彼女に、お前は俺の特別だと、少しは伝わっただろうか。
寮に帰ったら、誰かにとられる前にこの想いを伝えよう。
そう考えながら、ロッカールームの鍵を開ける。
扉を開けた先には、夕焼けに照らされた海が一面に輝いていた―――