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君がいるから 5 ページ15

涙を拭って、モヤモヤの晴れた頭をあげる。
皆を見送り、閉まった扉を見つめた。
急に静かになった部屋、いつもと同じはずなのに少し淋しさを覚えた。

『…なんて、贅沢すぎだな、私。あのモヤモヤがなくなって、自信がついたんだから、それで十分だよね!』

そう呟いて、机の上を片付けた。
寝る支度を済ませ、あとは布団に入るだけ。
でも何故かあんな夢をまた見そうで、入るのに勇気がいる。

『大丈夫、大丈夫…』

何度も声に出して呟いて、ふぅと息を吐いた。
すると控えめにノックされ、扉が開く。

万里「よっ。お、ちゃんと寝ようとしてた?偉い偉い。」
『ば、万里くん…!どうして…?』

寝間着に着替えた万里くんが、部屋に入ってくる。
そしてベッドへと腰を掛けた。
その動きがあまりにも自然で、思わず見つめてしまう。

万里「ん?……監督ちゃんと、一緒に寝ようと思って。」
『……え?』
万里「ずっとちゃんと眠れてなかったみてぇだし、誰かがいた方が安心すんだろ?それに、魘されてたら起こしてやれるし、すぐ助けてやれる。今日くらいはぐっすり休んで、明日からまたいつもの監督ちゃんで笑っててもらいてぇからさ。」

そう言って、ふわりと優しく笑う。
凄く、優しい笑顔で。
また涙が溢れそうになるのを、ぐっと堪えた。
そして、彼は、手をこちらへと差し伸べた。

万里「…ほら、おいで。」

私の手が勝手に動く。
彼の手に重なると、ぐっと引かれて、すっぽりと腕の中に収まった。
そしてそのまま二人で布団へと潜り込む。
髪を優しく撫でられて、彼の温かさが嬉しくて、背中にそっと腕を回す。

万里「お、今日は大胆じゃん?」
『……今日だけ、だから。』
万里「……今日だけじゃなくていい。俺の前では弱くてもいちし、甘えたっていい。弱音や愚痴だって言っていい。傍に、いるから。ゆっくり寝ろよ。」
『……うん。ありがと。』

温もりを感じながら、ゆっくりと瞳を閉じる。
疲れからか、安心感からか、私はすぐに眠りに落ちていく。
その時、微かに、でも確かに、耳元で囁かれた言葉。

万里「…好きだ、A。おやすみ。」

頬が緩むのを感じながらも、襲ってくる睡魔に逆らうことはできずに、深い眠りへと落ちていく。
起きたら、貴方に伝えよう。
私も、大好きだよ、と―――

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作者名:宇宙 | 作成日時:2018年6月29日 11時

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