ちょっとしたトラブルにより、進学する高校が男子校になりました (ページ2)

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序章第1話ページ2

(……………)

気が付くと、周りは真っ暗な闇に包まれていた。
動こうとしても狭くて殆ど身動きが取れない。

(ここは…？)

私は狭く暗いところに横たわっているようだ。
もぞもぞと体を動かしたりしていると、
ボッ
っという音と共に、パチパチと何かが燃えているような音が聞こえてきた。

(熱っ…！)

火の粉が首筋に当たった。
すると、私の今までいた狭い所の蓋が開いて、体長70～80cmくらいの猫か狸のようなモンスターが炎を吹いていた。

「たっ、狸のモンスター!?」
「ふなっ!?誰がたぬきじゃーーー！！！オレ様はグリム様なんだゾ！」

そのモンスター(グリム)は、怒ったように大きな炎を吹き出してくる。
少し落ち着いたのか、グリムは暫くすると炎を吹くのをやめた。

「まあいい。そこのオマエ！オレ様にその服をよこすんだゾ！さもなくば…丸焼きだ！！」
「えっ…!?だ、誰か助けて！！」

私は起き上がって、急いで逃げ出した。

「コイツ、待つんだゾ！」

あまりに斬新すぎて、これは夢なのではないかという思いも込み上げてくる。

暫く走って、図書室らしきところまで来た。しかし、グリムも追いついてきている。

(夢なら早く醒めて…)

「さぁ、丸焼きにされたくなかったら大人しくその服を…」

そこまでグリムが言った時、
パンッ!
とすごい音がした。

「ふぎゃっ!?痛てぇゾ！なんだぁこの紐！」

グリムが悲鳴をあげる。

「紐ではありません。愛の鞭です！」

そんなことを言いながら、怪しげな仮面をつけた男性が現れた。
そして、私に向き直ると、

「ああ、やっと見つけました。君、今年の新入生ですね？」
と言ってきた。

「あ、あの」
「ダメじゃありませんか。勝手に扉(ゲート)から出るなんて！それに、まだ手懐けてりていない使い魔の同伴は校則違反ですよ。」
「離せ〜！オレ様はこんなヤツの使い魔じゃねぇんだゾ！」

グリムがそう言って暴れる。

その後も、仮面をつけた怪しげな男性は、暴れるグリムをなだめながら、入学式は始まっているなどと言っている。

「……新入生？扉？」

私はまだよく分からないまま、男性の言葉を繰り返す。

「貴方が目覚めたたくさんの扉が並んでいた部屋ですよ。」

その男性によると、通常は特殊な鍵で開くまで生徒は目覚めないはずのようなのだが、私は何故か目覚めてしまった、ということらしい。

(よく分からないことが多すぎる…)

そう思いつつ、私はその男性の話を聞くことにした。