ただ愛する仲 Ⅳ【Hikaru.I】 (ページ41)

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A side

母「…彼の名前は？」

『え？』

母「あんたと付き合ってて、
　家の前まで来たあの男の名前よ」

『…何で？』

母「気に入らなくても名前は知っておかなきゃ、
　娘の恋人なんだから。」

親子というのは不思議なもので、
いつの間にか普通に話せるようになる。

仲直りなんて、していないのに。

『名前は言わない。
　もう…会うことはないから。』

母「どうして！？…別れろなんて言う気は」

『私ね、もう恋はしない。』

母「まさか、振られた？」

『その方が良かった。気楽だったかも』

私と付き合う人は人生がめちゃくちゃになる。

スマホには、彼からの着信とメッセージ。

無視は反則だろ

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気持ちが重いまま、出勤する。
…入り口には照が仁王立ちをしていた。

照「少しだけ、話聞いて」

『…なに？』

照「苦しくても…
　慰霊碑の仕事は2人で終わらせよう。
　公園ができるまでは、俺に会ってよ。」

『…分かった』

自分たちから始めた手前、後には引けない。
そして彼と2人でここまで来たのだ。

照「じゃあ腹ごしらえから」

『嫌だよ、』

照「これも仕事のうち！食べなきゃ働けねぇ。」

少し古びた喫茶店でラーメンを頬張る彼が目の前に居る。

『ちゃんとご飯食べるんだね』

照「偏食しないで健康でいれば、お前も心配しないだろ」

『…息止めて飲み込んでるじゃん』

照「ちげぇよ。
　大人の食い方って言ってくんねぇ？」

私の一言一言で振り回してしまうなんて申し訳ない。
お詫びに少しネギを貰ってあげた。

　

『ほら、無理したせいだ』

照「美味くて早食いしたせいだから」

慣れないものを食べたからか、
結局トイレでリバース。

『これ、薬…私に気遣わないで。』

照「お前のためじゃねぇよ、…Aっ」

『会社で会議があるから、』

照「一言だけ。
　お前のせいじゃないから、罪悪感を抱くな。
　俺はお前に…何度も救われたんだよ。」

初め傷だらけだった彼を助けた所から
思い浮かべて目を閉じる。

『私は貴方を置いて…助けられて、』

照「お前が崩壊させたのか？
　そうじゃないなら、もういいだろ。
　いつも堂々とAらしく、な？」

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