ただ愛する仲 Ⅳ【Hikaru.I】 (ページ38)

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A side

「数日前にも来たわね、北斗の件で？」

『はい…』

「貴方は以前にも何度か訪ねてきたわね？」

“何度も”来ていたなんて。

照は6人で映る写真を見た。
あぁ、彼らは…

・

「趣味でラップやってる奴がいるんだ」

「意外とあざといんだよコイツ(笑)」

「笑い方が面白くてさらに笑えんの」

「シンプルにうるさい人だよ」

「馬が合わねぇ、でもいい奴」

・

照「北斗さん…優しそうな顔。てっきり怖い人だと…」

「数少ないうちの1枚で、修学旅行の写真です。
　学校ではよく笑ってたみたい。
　 …貴方たちは知り合いなの？」

『…、』

照「はい、最後まで…一緒でした。
　彼からの伝言を預かっていたんです。」

“あの時…何も言わずに出かけてごめん”

お母様は号泣し始めた。

私が泣く権利なんてないけれど、
胸が苦しくなった。

照「遅れてすいません…」

「それを伝えようと何度も来てくれたのっ…？」

照「…では、また来ます」

私はそっと机に彼のガラケーを置いた。

今、言わなければ…

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＿＿

『…帰るね』

照「帰せる訳ねぇじゃんか」

『帰りたいの』

照「このまま帰って…もう会わないつもりだろ」

お母様に全てを打ち明けた、帰り道。
私は負のループに直撃していた。

照「もう会わねぇとか嫌だからな」

『…私が憎くないわけ？』

照「ったりめぇだろ、何で俺が…」

『私が先に助けられたから！』

彼が先に救出されれば。

北斗くんに出会うこともなく、幻聴も聞こえず
…人生を壊されなかった。

『…私が北斗くんを呼び出さなければ彼も、』

照「くだらねぇな…！」

『私だけが平気なんだよ！？
　こんな…自分がやっぱり大嫌い！』

彼は懲りずに抱きしめてくれる。

照「おい、A……
　俺の人生を壊せるほどお前は偉いのか？
　 …悪いのはお前じゃない。
　だから二度とそんな風に考えるな。」

『ちが、』

照「1日でも長くお前と幸せで居たいんだよ…
　悔しい思いをした分、何倍も楽しみたい。」

『…離して、』

照「離さない」

一緒に居ると苦しい、そう話すと少し力が緩んだ。

『昔のことを思い出して…自分を嫌いになるの』

鼻をすする音が聞こえたけど、
離れてバスへ乗った。

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