ただ愛する仲 Ⅳ【Hikaru.I】 (ページ37)

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照 side

朝、飛び起きても彼女は居なかった。

様子がおかしすぎた昨日。
最初の動作を思い出すと、俺の目線はタンスに向く。

　

…ない。

携帯電話がなくなっている。
これを、見たから…？

Aの携帯に電話しても繋がらない。
これはまぁ、予想内だ。

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照「A、」

蓮「あれ？どうしたんすか」

照「Aは？」

蓮「珍しく無断欠勤してます。
　締め切り日なのに、ほんと珍しい…
　あ、見て下さい。随分良くなったでしょ？」

慰霊公園の完成イメージ図を見せてくれた。

その中の資料、名前を刻む人の一覧に
“松村北斗”の文字。

彼女が無断欠勤までして向かった先…

照「よくやった、さんきゅ！」

蓮「…？」

　

やはり、彼の家の前にAは立っていた。

照「…昨日、」

『幻覚の主は、…北斗くん？いつそれを知ったの？』

照「…お前と一緒に来た時。」

『何で黙ってたの…』

照「言いたくなかった。
　もう…お前を苦しめたくないから。」

やっぱり帰ろう、と手首を掴んだけど
それ以上に彼女の意思は強かった。

『あの日、私が呼び出したってお母様に…』

照「辞めとけ。今更、意味ねぇ。
　全て無理やりに知る必要ないだろ。」

今その母親に話したら
悲しみに恨みまでプラスされてしまう。

と、玄関からその母親が出てきた。

俺の顔を見て、時が一瞬止まった気がした。

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