ただ愛する仲 Ⅳ【Hikaru.I】 (ページ36)

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照「…洗面所にまで着いてきて
　もしかしてなんだけど、一緒に入る気？」

『違う、』

照「じゃあ部屋で待っとけ」

『嫌だ、一緒に行く』

突然ニヤニヤし始めたから、慌てて弁解を入れる。

『洗濯もしてね、着替えは出しとく。
　 …部屋で待ってるから！』

照「心配性だな、」

部屋にあったシャツにも血が着いている。
康二くんの“また”の意味が分かった。

着替えを準備しようとタンスを開ける。

血が着いた服ばかりだ。
漁っても漁っても……＿＿＿＿？

『…携帯、』

隅っこにある、古ぼけたガラケー。

　

キーホルダーには“M.H”の文字。

・

光「事故の話はしないで。
　兄は、遺体と数日間閉じ込められていたんです。」

・

『上手く、作れた』

・

光莉さんの話、私の幼少期の記憶。

　

見覚えのあるこのストラップは、
私が手作りしたものだ。

ガチャリ、と音が聞こえたから慌てて涙を拭う。

照「あれ、着替えは？」

『…』

照「…え、何だよ」

『もう、家に帰らないと。じゃあね、』

腕を掴まれて、動けない。

そのまま帰してくれる訳は無かった。
自分でも挙動不審だと分かっていたことだし。

照「帰るなよ、」

『ごめん』

照「俺の目を見ろ、…ちゃんと」

一瞬だけ目を合わせて下に目線を下げると
ぎゅう、と引き寄せられた。

『ちょっと、照』

照「俺さ、愛してんだよ…」

何の脈絡もなく、突然の愛に困惑する。

照「…今、言わなきゃ駄目な気がして。
　 A？愛してる…」

そのまま私の方に倒れてきた。
…何でこんな時に寝れるんだろうか。

布団に寝かせて頬を撫でようと、した。

ー

2005年＿＿＿＿＿＿＿

照「っはやく、おきて…！！」

『！？』

目を覚ますと、上から崩れてきた柱を肩で支え
必死に私を守ろうとしていた。

照「外に人がいるんだ、…こっち来い」

『…あなたは！？』

照「君が出た後に出るから大丈夫、」

私が隙間を出る。

その直後、重さに耐えきれなくなった彼は
また、道を塞がれてしまった。

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ストラップとガラケーを見て、
記憶が少し蘇った。

貴方を、先に出してあげるべきだった。

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