ただ愛する仲 Ⅳ【Hikaru.I】 (ページ23)

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A side

家でご飯を作って母を出迎えても、
どうしてか機嫌が悪い。

1人で食べて、なんて突っぱねられてしまった。

ブブブ、と受信音がしてニヤける。

買い物、着いてきてくんね?

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今日はしっかりお洒落な私が鏡に映って自信が湧く。

待ち合わせたショッピングモールへと行くと、
1人そわそわしている照。

『ひか…』

照「行こう、」

一目散と私の腕を掴んでその場から逃げ出した。

『…買う物あったんでしょ？』

照「他の店にしよう」

ふと外から建物を見た。

…そういうことか。
私まで思い出してしまった、事故の日を。

照「…な？」

『うん、…確かに』

彼の手をとって、違うお店へと移動する。

『でも、何買うの？私なにもいらないよ？』

照「お前にじゃねぇよ！
　いくら俺が鈍くても本人に選ばせないから」

『じゃあ、…誰の？』

照「妹の光莉にプレゼントしたくて。」

誕生日ではなく、インターン終了のお祝いに。
妹思いの素敵な人だ。

『お医者さんとか素敵だよね、何がいいかな…
　誕生日には何贈ったの？』

照「…あげたことない。事故の日が誕生日でさ、
　それに加えて父さんの命日。
　 13歳からは祝ったことねぇよ。」

久しぶりにプレゼントを買おうとしたら、
好みが分からない。

シルバニアを取って、これはちげぇよな？と言う。

『可愛いけどね』

照「可愛いよな！？俺が欲しくなるわ…」

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照「一緒に飯も食わずに！？」

『今日は早く帰らなきゃ。
　最近お母さんの元気がなくて…、心配なの。』

残念そうな照を見ると何だか嬉しい。

電車が来て椅子から立ち上がると
慌てて紙袋を差し出された。

照「これ、」

『…妹のでしょ？』

照「それとは別」

『えぇ、いつの間に買ったの！』

照「ほら電車来たからじゃあな」

顔を半分隠した彼に手を振って別れる。

席について中身を見ると私がお店で試してみた帽子。
車内なのも気にせず、るんるんで被る。

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