ただ愛する仲 Ⅳ【Hikaru.I】 (ページ29)

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A side

蓮「待って服にシワついてた！
　 …まさか、渡辺麗華室長と〜って感じ？」

『辞めなって…』

蓮「そういえば景観チームが
　慰霊碑のサンプル欲しいってよ。
　石の敷き方？決めたいらしい。」

『じゃあこれ届けておいて欲しい…
　私、行かなくちゃ行けない所があって』

サンプルを頼んで、私が向かった先は
インターホンを押すのを戸惑う家。

「…うちに何か？」

『すいませんっ、…あの』

「勧誘なら要らないわ」

『違うんです、北斗さんは…松村北斗、』

初恋相手で、なおかつ命を亡くした彼の家だ。
名前を出すと動きを止めた。

「“今は”居ないけど」

『…え、』

そのまま中に入ってしまったから真相は分からない。

ただ、今も生きているような素振りに
少しドキッとする。

でも…帰る他なかった。

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亮「役所が作業の申請をしろって」

辰「壁裏の配管をやり直そうか。
　下水道に繋いで悪臭を防ぐ〜、あとは
　トイレの通気性も確認を…」

会議の途中で参加するのは中々気まずい所。
すいません、と小さく呟いて席に座った。

辰「工程の割に期間が短い、でも…
　手を抜けば全部が台無しだからね！
　 Aちゃん、設計図は？」

『ま、だです』

辰「変更点は多いけど時間ないから
　ちょ〜っとだけ急ごう？
　工期を守るのも俺たちの仕事だしね」

『すいません…』

辰「よし、じゃあ解散で！
　一旦みんな休憩入れよか」

休憩になって詰め寄ってくる目黒くん。
彼は昨日と同じ服の理由が間違っているのに。

蓮「ねぇ、なんでその人なの？
　好きなとことか俺に教えてよ」

『うーん…』

蓮「え、ピンと来ちゃった系なの？」

『違う、好きなとこがありすぎる。』

蓮「そのうちの1つは？」

『好きな所は多いけど、嫌いな所はない』

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