ただ愛する仲 Ⅳ【Hikaru.I】 (ページ2)

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A side

光「…兄は、」

『心配しないで、少し時間を頂戴』

ICU？から出てきた照の妹さん。

私は照の元に走った。
病院のベンチに項垂れて、手は震えている。

『…行ってあげて、早く』

上からそっと手を握ると、
次第にしっかりと目が合ってきた。

頷いて、病室に向かっていく。

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照「…人は死ぬと、美しかった時に戻るらしい。
　死んだ旦那は、ばあさんに惚れ直すだろ。」

話しかけても聞こえるのは心電図の音だけ。
これだけが、生きている証拠だ。

照「っ俺を、わすれんなよ…！」

フラフラとした足で廊下に出る彼。
…今はそっとしておいた方がいいのかもしれない。

『…おばあさんの事、信頼してたんだもんね』

こんなにも涙を流す彼を初めて見た。
それだけ思い入れが深いんだろう。

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康「照兄、ずっと寝てるんよ。1日中ずっと。
　起こしたろか？」

『ううん、寝かせてあげて。
　お葬式が終わるまで一睡もしてないと思う。』

康「っでも」

『起きたら…これ食べさせてあげて？』

　

亡くなったおばあさんのお葬式が行われた。
彼にとって家族と同じくらい大切な人のお葬式。

気落ちしてしまい、何もする気が起きないらしい。

蓮「…ちゃん、Aちゃん」

『…ん？』

蓮「案件ってこれだけだったっけ？
　俺さ、デザインチームに戻ってって言われた。
　 Aちゃんは？ここ辞める？」

少し悩むと、内線がかかってきた。
…深澤代表だ。

辰「全体模型の提出は来週だよね？」

『はい、…あの私はこの案件で』

辰「あ、追悼公園の設計案送っとくね
　多少だけど参考になるかもしれない！
　まだ設計途中なんだけど…やってみてよ」

『私がですか…！？資格もないのに』

辰「だから経験が必要だよ。
　最初は誰でも初心者、フォローするし。」

どうやらいい先輩になろうと努力中らしい。

目黒くんが今撮って見せてくれた写真、
深澤代表はとてもばたばたしている。

『…私には荷が重いです、代表にも申し訳ない。
　模型が仕上がれば…』

辰「謝んないで、申し訳ないのは俺。
　でも窮地に立つほどいい結果が出る。」

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